50.最後の嘘を。 ページ21
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セノと一緒にいると、恋してる。って感じがするの。分かる？全てが愛おしくて
抱き締めたくて、キスしたくて、なんなら全部欲しくなったりして
ふわふわした感じ。胸が締め付けられたりする、そんな感じ。
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瀬野といると、なんか安心すんの。セノの姉ちゃんだってこともあるのかもしんない。
でも、なんか欲しいなぁ。って思っちゃってんの。それはキスしたい、とかそういう感じじゃなくて
なんつぅかなぁ…。隣にいて欲しい、って感じの。あればあるほど、嬉しいみたいな。
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和也「ノセももちろん好きだけどねー？」
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最早一方的に、そう語っていた二宮さんはツンツン。と水槽越しにまたつついてから
中腰の状態だった格好から、普通に背筋を伸ばして
体育座りをしている私をゆっくりと見下ろす。
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和也「……なんで泣いてんの(笑)」
「……知らなっい…」
和也「俺ね、分かんない。俺自身も分かってない。奏美が好き。Aも好き。両方貰えるなんて思ってない。でも欲しい」
「……っうん」
和也「自分勝手？我儘？最低？…分かってんだよ、分かってんだけど」
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ぷかぷか。とノセが泳ぐ。
ぽとぽと。と瀬野が泣く。
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和也「正直、奏美の方が俺ん中で大きい。でも地味に、こうチクリチクリ…。とAが大きくなっていくのがわかんの」
「…うん？」
和也「何年もかかるし、もしかしたら、一生このまんまかもしんない。このまま地道にしか大きくならないかもしれない」
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和也「それでも俺の隣にいて欲しいって思うのは、俺の我儘だからさ」
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和也「…さっきのお願いは、嘘よ」
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また。また、また、嘘つきなの。
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なんで、涙が止まらないの？それは、きっと分かってるから。
なんとなく、大人になるたびに分かっていく、展開。あぁ、このあとはこうなるな。って
マンガとかでも、なんとなくこのあとはこうなるって読めるようになってくる、そんな展開。
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和也「ーーーー…だから」
「……」
和也「もう関わらないようにするから、だから」
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和也「最後に、今日だけ、家政婦さん。やってよ」
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