47.金魚のノセ ページ18
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…って。
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「汚っ！？」
和也「あー。そこら辺テキトーに座って。んーとなんか飲む？」
「いりません！私が掃除しなかった数日間に空き巣にでも入られましたか！？」
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“いいことあるけど”と言われて
もし行かない人がいるなら、私はその人を死ぬほど尊敬してみたい。
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結局、甘い甘いハチミツのように甘い誘い文句に
すぐ隣の部屋に、足を踏み入れ。踏み入れた、その瞬間
私の目に映ったのは、もうなんでこんな風になるんだ。と突っ込みたくなるぐらいの荒れ果て様。
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これじゃあ、『いいこと』を聞くような気にもなれないわ……。
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「あーーっ！まぁたカップ麺！食べたまんまで捨てないで！汚いって言いましたよね！」
和也「えー？あぁ、それ？それはぁ…、ノセが食べてたかなー」
「ノセは金魚！ノセは水槽の中！ノセはカップ麺食べない！バカ！」
和也「バカって、おまえ……」
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ノセって言うのは、いつぞやの花火大会で二宮さんが捕ってくれた縁日の金魚の名前で
他に2匹いたんだけどその内の2匹はやはり縁日の金魚だからか、眠りに就いてしまって
残るは、このノセって言う名前の由来は分からない1匹だけ。
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世話は毎日、家事と同じようにしていたんだけれどここ数日は家事すらしに来ていなかったから少し心配だったけれど
掃除はまるでダメで、荒れ果てた部屋になっていたのにノセの世話だけはしっかりとしてたみたいで
そんな部分に、分かんないけれど胸がギューーッと痛くなった。
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「…汚いんだから……」
和也「…うっせーよ」
「…片付けませんからね」
和也「…分かってるわバカ」
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だってもう家政婦じゃない。もう関わらないって決めた。
これで最後。これが最後。これは最後。
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私は自分を納得させるように、そう心の中で反復させて
かろうじて座れるスペースに、体育座りをして、ソファに座り込む彼を上目遣いに見つめる。
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…奏美も、こんな風に彼を見ていたのだろうか。
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和也「……ん？」
「…え？あ、いや。…あの、本題に入ってもらえますか」
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奏美も、こんな風に見つめていたのだろうか。
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