46.なんでもしますから！ ページ17
.
.
和也「『もうそういう自惚れ発言もスルーしますから！』」
.
プシュー…。って扉が開く音がして、私たちが住む街に電車がついた知らせが私の耳を掠める。
私の目の前で座っていた二宮さんは、その一言だけ呟くと
そのまま私のスマホとイヤホンを片手に、意味ありげな微笑みを浮かべてホームに降り立ったから、私もそれに倣って、ホームに降りる。
.
ホームには私と彼しかいなくて、私が完全に降り立ったことを確認した車掌さんが電車を発車させ
奇妙なぐらい物静かになった、ホーム。
.
どうするんだろう…。と悩んでいた瞬間に
私に背中を向けていた二宮さんが、くるり。と私と向かい合うような状態にして
すぅ。と息を大きく吸ったかと思うと
.
.
和也「『お願い！なんでもしますから！』」
…ってホーム全体に木霊してしまうような、そんな大声でそう叫ぶと
ニヤリ。と口角を上げて、私を見下ろした。
.
.
和也「…って言ったの。どこのどなたでしたっけ？」
「なっ…！」
.
.
ーーー“お願い！なんでもしますから！”
.
.
言った。確かに、私は言った。
二宮さんの部屋で、花火大会に一緒に行ってもらうために、確かに言った。
言ったけど……。
.
.
「もうそれって無効じゃないですか？」
和也「なんで？」
「だって彼氏の代役なんて結局してませんし。むしろ事を荒立てた張本人ですし」
和也「ひでぇー。約束したのに？事を荒立てる原因を作ったのはアナタでしょーが」
「なにその理屈！？」
.
.
ふん。って笑いながら、私のスマホを自分のポケットに。
イヤホンは片手でブンブンッ。と挿入部分を回す辺りは幼い子供みたいで、なんとなく笑ってしまう。
.
二宮さんは、そんなスタイルでホームを歩いて。私はその後ろを追って。
意味がわからない理屈を掲げたまま、駅の外まで出ると。
.
和也「俺の部屋に来て」
.
って、また意味わからない言葉。
.
「…それは、なんでもします。って言った頼みごとですか」
和也「いや？なんでもしてもらうメニューは決まってるし。アンタの好きだよ」
.
ただ
.
和也「部屋に来れば、いいことあるけど」
.
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2668人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
