45.招かれざる客 ページ16
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ガタン…。って動いていた電車が私たちが住んでいる一駅前に止まって
プシュー…。って私のすぐ隣の扉が開く。
でも私の意識は、そっちじゃなくて私の目の前に立って私を見下ろしてる人に全部持ってかれてる。
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「なんで…」
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ふわふわと言うかどっちかと言うとふさふさな茶色の髪の毛。ビー玉みたいな丸い色彩の薄い瞳。
私の驚いた様子にご満悦なのか、得意気に上がる口角。微かに私の鼻腔をくすぐったのは、甘い匂い。
私から取り上げたスマホとイヤホンを片手に、空いている片手では吊革を握る。
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プシュー…。と今度は扉が閉まる音がした。
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和也「なんで、って…。別に深い意味はないし」
「…奏美に追いかけろって頼まれました？」
和也「……は？」
「それとも智くんが言いました？どっちですか」
和也「どっちでもねぇんだけどなぁ…」
「嘘言わないでください」
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私を見下ろしている彼を、キッ！と睨み上げると、あからさまに不機嫌になる二宮さん。
…なによ。だって、だって。何か、誰かに頼まれないと私なんて見つけないでしょう？
私になんて用は無いんだから。あぁ、夕ご飯？そんなの私知らないんだから。
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そう思いながら睨み上げる私と
そんな私を見下ろして困ったように笑う二宮さん。
もう私たちが乗っている車両には誰もいなくなってしまった。貸切状態だ。
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和也「……嘘？」
「そうです。いっつも嘘ばっか…！いいですか！私は二度と家政婦なんかしないし、極力話しません！もう一切関わらないでください！」
和也「……」
「取り敢えず！そのスマホとイヤホン返してもらえますか！？」
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ふんっ！って最早勢いのまま溢れ出た言葉に、私なんかがストップをかけられるはずがなく
そのまま、私は彼の手中にあるスマホを立ち上がって取ろうとする。
……する、と。
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ボスン。と言う効果音が似合うような感じで、さっきまで私の目の前にいた彼が私が座っていた席の隣に座っていて
今度は私が立って、彼が座ってる。って言う状況に陥る。
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もうなんなのよ…。って太い息を吐くと、彼はまた満足そうに笑った。
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