42.rain cats and dogs. ページ13
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翔「それからニノは瀬野奏美のことは忘れて。吹っ切れたわけじゃないけど、とにかく忘れて」
「……」
翔「やっとのこさ、思い出が薄れてきたかな。って思った時に、ニノが慌てて俺に報告してきてさ」
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“ーーーー瀬野！瀬野A！同じ苗字の、すっげぇ顔が似てるやつ！翔ちゃんの部にいるよね！？”
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翔「いるけど、って。その時はまだ俺もたまたま同じ苗字だって思っただけだったから答えたんだ」
「……それで」
翔「どうにか接点取れないか、って言われて。でも俺無理だよって言ったら諦めたんだ。それで終わったかと思ったんだけど」
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なんでか接点取っちゃって？なんかすっげぇ仲良くなっちゃってるし。
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あぁ、それは私が何も知らず隣に。隣室に引っ越してしまったからです。
何も知らずに、恋に落ちてしまったからです。
…なんて口が裂けても言えるはずもなく。
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翔「…まぁ、俺が教えなかったのは俺もAちゃん狙いだったからなんだけど」
「…え？何か言いました？」
翔「ん？いやー？」
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櫻井さんはそう笑うと、パッ！と立ち上がって
私が座ってる2人掛けのソファの空いているスペースに座り込んで
私の方に身体を向けると。
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翔「何があったかは知らないけどさ。ニノも必死なんだと思うよ。…多分、今は瀬野奏美に意識は向いてるかもしれないけど」
「…はい」
翔「そのうち、『瀬野A』の方に意識が…向くと思う。あ、これ俺の勘ね？(笑)」
「…勘、ですか」
翔「そ。だーかーらーぁ」
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櫻井さんはそう語尾を伸ばして、悪戯っ子のように私の顔を横から覗き込むと
私が濡れた髪の毛の上に被せておいたタオルに手をかけて
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翔「Aちゃんが泣くことはないんだぞー！？」
「きゃぁっ！？うわっ、やだ、さくらいさ！」
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ワシャワシャーッ！とまるで濡れた子犬をタオルで撫でるように、櫻井さんは。
タオルで、私の髪の毛をワシャワシャッと撫でて。
ぴたり。といきなり動きが止まったかと思うと、今度はきちんと乱れた髪の毛を整えてくれて。
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翔「…嫌いにならないであげて」
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って、小さく呟いた。
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