探偵のうららかな午後【嘘レト】 (ページ1)

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プロローグページ1

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お金は人をダメにする。

欲望に眩み、堕落し、他人を陥れ、依存する。

いい事なんかありゃしない。

だから、

私がいると、めちゃくちゃになるの。

人との関係も、感覚も、価値観も、正義すらも

私の大切なもの何もかも、お金のせいで

信じられなくなった。

私は俗に言う貧乏神の反対、

金運が人一倍強い体質の人間なのだ。

私に関わる人すらも皆裕福になる。

突然トントン拍子に出世したり、賭博で大儲けしたり、色んな形で大きな富を手に入れる。

けれどそれはいい事じゃない。

全くいい事なんかじゃない。

人を狂わせる最悪な呪いなのだから。

悪い大人に利用され、大切な人を傷つけるだけの

最悪な、呪い。

そんな私がこの呪いを人生で一番恨んだ瞬間というのは、今、こうして逃亡生活を送るきっかけとなった、とある殺人事件の犯人探しをしている時だった。

『あんたのせいで殺人事件なんかが起きたのよ。この疫病神！！！』

『こんな高価なもの、あの子と関わらない限り手に入れられないはずよ。』

『この事件の犯人は適当に見繕うから、警察の人の質問には全ていいえと答えるんだよ、そうすれば私とまた一緒に暮らせるから。』

……………

＊＊＊

(お金なんか、大っ嫌い....)

腹の虫が鳴く午後七時過ぎ。

車窓から流れる藍に染まった空を睨み、

肌寒い風が涙を拭った熱い頬を冷ます。

握り締めている左手には、クシャクシャに丸まった切符とお釣り三銭。

こんなんじゃ到底逃亡生活なんて送れない。

でもそれは私じゃなければの話。

(皮肉も皮肉だわ....この呪いのせいで何度も死のうとしたのに、今は呪いがないと生きていけないだなんて、ホント笑える。)

自分の惨めさを鼻で笑って、惨憺たる記憶から手を離すように眠りに着いた。

『たった一人で…どこか遠くへ…………』

これから心休まらない日々が訪れることなど知る由もなく。

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