【wrwrd】新メンバーに騙されてた件について。�供�syp.all】

六十八話 ページ21

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気温が高く、除湿機を使っても追い付かないほどの湿度。梅雨は一年で一番嫌いな時期だ絶対。

お掃除はいつもより念入りにしなくちゃいけないし、食材の管理も大変。泥で汚れていく靴や服。
…何だか思考が遊び盛りの息子を持つ母親みたいになってきたな。私独身のはずなんだけどな？



雨で店に来るお客様も少ないため、キッチンで旦那さんと料理の確認。
あれから試作品を見てもらい、少し改良して商品として出す事になった。最終確認の真っ最中。


怜さんに食べてもらった時は時間的に見切り品のお刺身を買って作ったんだけど、実はそれもちゃんと理由があって。
旦那さんにも女将さんにそれを伝えたら喜んでもらえて、考えて良かったと心から思った。



ふと怜さんのことを思い出してしまうと、頭の中が怜さんでいっぱいになる。
だから仕事中は思い出さないようにしてたんだけどな…

諦めないと口では言った彼も、あの日から何も変わらず普通に接してくるだけ。
まぁ皆の前で変なところ見せられないし、有り難いと言えば有り難いんだけど…

でもやっぱり、ちょっと寂しい。


両想いってわかってるのに。別に恋人らしいことがしたい、とかじゃなくて。

あれ以上この気持ちを伝えるのはダメな気がする。
付き合えないと言ったのは私なのに、その私が愛情を伝えるのは余りにも理不尽だ。
だったらこのまま、自然消滅という形で怜さんの気持ちに変化があれば。

私ひとり我慢すればいい。


…もともと恋愛しないで生きていこうと思ってたし。それで全然問題ないじゃない。
数ヶ月前に戻っただけ。

怜さんなら、きっともっと良い人がすぐ見付かるから。









結局、仕事に殆ど集中できなかった。だから思い出さないようにしてたのに…

帯を緩め、そろそろ薄物の着物出さないとな、と考えながら慣れた手付きで着替えていく。


スマホを開いて連絡のチェック。だいたいグループラインが動いてるだけから軽く読んで帰るのが最近の毎日。



早く帰って投稿された今日の動画見なくちゃ、と店を出た。






　

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