六十六話 ページ19
、
side 紫
あの日から、三週間ほど。
梅雨に入り、ジメジメとした毎日が続く。不快指数高すぎ、なんて考える電車の中。
グループとしての活動は相変わらずで、遊んだり撮影したり生放送したり。
変わった事と言えば、Aさんがメンバー入りする動画をどうしようか考えたり、せらさんに描いていただく立ち絵のキャラデザを簡単に考えたり。
キャラデザに関してはトントンさんとふたりでラフ描いて送り合って確認して…って作業やから俺や他のメンバーは関係ないけど。
Aさんとの関係は曖昧なまま。
個人的にも連絡は取るし、今まで通り話すけど、友達以上恋人未満の状態が続いとる。
好きなのに、手を伸ばせば届く距離に居るのに。
手を伸ばしたままで、掴むことができない。
「すんません、お忙しいのに」
「いや、ええんや。話したい事あるんやろ。」
数日後、俺はグルさんを呼び出した。…忙しい人やから、通話やけど。
「ホンマはちゃんと会ってお話したかったんすけど…」
「何や?ハッキリ言ってみ」
「…俺、Aさんの事が好きなんです。」
「メンバー内の恋愛禁止って言ったよな?」
「それはわかってます。やけど、Aさんがマナブって、知らん時から好きなんです。出会ったんはもう何年も前です。」
AAという、ひとりの女性として知り合い、好きになった。
それは彼女もそう。紫ノ塚怜というひとりの男を好きになってくれた。
それがたまたま、同じグループに居るとわかったのは、恋人としての関係が始まる直前のこと。
「俺、もう告白したんです。返事は急がんからゆっくり考えて、ってその日は別れましたけど。」
「…返事は、貰わんかったんか」
「貰いましたよ。Aさんも、好きって言ってくれました。でも、付き合えないって。」
「グループの今後と、
「そうか。」
「…お互いの気持ちは同じやのに、付き合えんのです」
「グループを大切に思ってるから、皆に迷惑かけること、気を遣わせること、したくないって。」
「お前はどうしたいんや?さっきから聞いていれば、アイツに言われた事ばかり。」
「お前に、意思はないのか」
「俺は…付き合いたいに決まってるじゃないっすか。でも、自分の気持ち優先させて、Aさんに辛い思いさせたくないんです。」
「やから相談させてもらったんですよ。…俺、こういう面、まだガキなんで…」
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まうる - トンママがトンママしとる......... (2019年9月9日 2時) (レス) id: a48c43d4d7 (このIDを非表示/違反報告)
yanochin(プロフ) - 和夢さん» コメントありがとうございます!一応次のお話で書くつもりですが、本人から辛いから聞いて知ってる感じです!童貞のはずなのに完全にママで性別が迷子です! (2019年6月7日 22時) (レス) id: 2c796d6a97 (このIDを非表示/違反報告)
和夢 - トントン…最初に女の子の日って気付くなんてお前童貞やないのか!? (2019年6月7日 17時) (レス) id: 926cbb72e4 (このIDを非表示/違反報告)
yanochin(プロフ) - 黒月(ブラックムーン)さん» 全然大丈夫ですよ!体も負担かからない程度に頑張ります。ありがとうございます! (2019年6月1日 3時) (レス) id: 2c796d6a97 (このIDを非表示/違反報告)
黒月(ブラックムーン)(プロフ) - yanochinさん» 今改めて自分の文面見たんですけどうるさいですね...。更新頑張って欲しいですけど、体壊す人も居るみたいなんで無理しないようにしてくださいね~ (2019年5月31日 22時) (レス) id: 75155c2af0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:yanochin | 作成日時:2019年5月27日 20時