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六十五話 ページ18




side 紫




『…わたし、怜さんのこと、すきです。』

『怜さんより、わたしのほうが。貴方以外のひとを見られないほどに。』


だから、離れてしまうのが怖くて、本当の事を言えなかった。
あんな形で知られたくなかった。ごめんなさい。

そう言って彼女の頬を伝う涙は、とても美しかった。



あぁ、彼女はこんなにも悩んでいたんや。

なのに俺は自分のことばっかりで。



『この声は、本当の私じゃないの。本当は、男の人みたいに低い声なの。』

『気持ち悪いでしょう?…無理に受け止めてもらおうとは思ってないから…だから』



彼女の言葉を遮るように優しく包み込む。



「声?どんな声でも、AさんはAさんでしょ。」

「低いも高いも関係ない。貴女の口から出てくる音は、全部貴女の声や。」

「俺は、貴女の中身に惚れてん。どんな声だって、貴女の声なら俺は好きや。それが低い声でも。」



腕の中の嗚咽が大きくなる。

暫くは、このまま。









落ち着いた彼女が顔を上げた。


「…言ってくれて、ありがとな。でも、辛いことまで言わせてしまってごめん。」

『ううん、こっちこそありがとう。聞いてくれて。』




「返事は…付き合ってくれる、って事でええやんな?」

『それは…ごめんなさい、付き合えない…』

「…なんで?Aさんも俺の事好きでいてくれたんやろ?なら」

『グルさんとの、約束だから。…怜さんが、ただの好きな人じゃなくなったから。』

「俺がショッピやから?付き合えんの」

『…うん』

「そんなの、黙っとったらええやん」

『無理だよ。私、きっと態度に出るから。すぐバレちゃう。皆に気を遣わせるし迷惑かけることになる』

「…わかった。けど、俺諦めへんからな」





なんで両想いやってわかっとんのに付き合えんねん


Aさんの気持ちもわかるけど、納得はできん。



何とかして説得せんと。







 

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まうる - トンママがトンママしとる......... (2019年9月9日 2時) (レス) id: a48c43d4d7 (このIDを非表示/違反報告)
yanochin(プロフ) - 和夢さん» コメントありがとうございます!一応次のお話で書くつもりですが、本人から辛いから聞いて知ってる感じです!童貞のはずなのに完全にママで性別が迷子です! (2019年6月7日 22時) (レス) id: 2c796d6a97 (このIDを非表示/違反報告)
和夢 - トントン…最初に女の子の日って気付くなんてお前童貞やないのか!? (2019年6月7日 17時) (レス) id: 926cbb72e4 (このIDを非表示/違反報告)
yanochin(プロフ) - 黒月(ブラックムーン)さん» 全然大丈夫ですよ!体も負担かからない程度に頑張ります。ありがとうございます! (2019年6月1日 3時) (レス) id: 2c796d6a97 (このIDを非表示/違反報告)
黒月(ブラックムーン)(プロフ) - yanochinさん» 今改めて自分の文面見たんですけどうるさいですね...。更新頑張って欲しいですけど、体壊す人も居るみたいなんで無理しないようにしてくださいね~ (2019年5月31日 22時) (レス) id: 75155c2af0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:yanochin | 作成日時:2019年5月27日 20時

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