三十一話 ページ33
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side 紫
ちょっと強引過ぎたかな、と思いつつバイクのスピードを上げる。
この心臓の音が疾走感によるものだと誤魔化すように。
20分ほど走らせて山の細い道を進むと少し拓けた場所がある。その一角に桜の木が数本。
「着きましたよ」
『こんな所に桜があったんですね…知りませんでした』
「地元の人しか来ないっすからね。来る人も大体は満開の時に来るんで、終わりかけの今頃は殆ど人も居ないっす。」
俺は子供の頃に父親に連れられて来たんで知ってますけど、と続ける。
『なるほど…。やっぱり、夜桜とは雰囲気が違って昼の桜も綺麗ですね』
風で桜の花びらが舞う中、同じように風に吹かれて靡く長い髪。
桜が綺麗だと微笑んで見上げるAさんの横顔は、今まで見たどの桜よりも綺麗だった。
「…怜です。」
『え？』
「名前、
『え…でも、紫ノ塚様は紫ノ塚様としか…』
「今は客と店員やないんで。それに、俺だけAさんって呼んどるの、不公平やないですか？」
『わかりました。…怜、さん』
「ふふ、よくできました。」
思わず頭をポンポンと撫でた。照れとる。可愛い。
『か、誂わないでください！』
「誂っとらんよ。それと、歳も大して変わらんし敬語も無しでええですよ。」
『敬語なのは…怜さんもじゃないですか』
「それなら俺も敬語止めるで。今は対等な立場やから、お互い敬語無し！」
『…怜さんって、結構強引なんだね』
「こうでもせんと、Aさんは敬語止めへんやろ」
『まあ、確かに。でももう敬語が癖になってるから、ポロッと出ちゃうのは許してね？』
「それは俺もやからお互い様な。」
二人で顔を見合わせて笑い合う。
この時間が、ずっと続けばええのに。
『桜、思ったより残ってたね』
「せやなぁ。でも全部散った後やなくてよかったな」
『うん、風があるからどうかなと思ってたけど、心配しすぎだったみたい』
「逆に風があることで花びらが舞ってめっちゃ綺麗よな」
『ほんと、今日ここの桜見れて良かった…連れてきてくれて、ありがとう』
「俺でええならいつでも相手になるで。」
また今度、別のとこ行こうな、と言うと
満開の笑顔で、うん、と返事を貰った。
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黒月（ﾌﾞﾗｯｸﾑｰﾝ）(プロフ) - 続編ありがとうございます！最初の台詞なんですけど、、、エミさんでは？敬語やし、納得っていうのは前からの知り合いだから、、、と思ったんで。続編も更新がんばれください←（くださいって付いてるから敬語と信じて、、、） (2019年5月27日 23時) (
レス) id: 75155c2af0 (このIDを非表示/違反報告)
yanochin(プロフ) - キョウヤさん» コメントありがとうございます！共感していただけて嬉しいです！頑張ります！ (2019年5月27日 23時) (レス) id: 2c796d6a97 (このIDを非表示/違反報告)
キョウヤ - 主の気持ちなんかちょっとわかる。自分も声低いのちょっとコンプレックスだから。この小説面白いっす!頑張ってください! (2019年5月27日 23時) (レス) id: 665ea8b906 (このIDを非表示/違反報告)
yanochin(プロフ) - HAKU猫の夏さん» コメントありがとうございます！頑張ります！！ (2019年5月27日 20時) (レス) id: 2c796d6a97 (このIDを非表示/違反報告)
HAKU猫の夏(プロフ) - あ。なんか好きっす、頑張れください。 (2019年5月27日 20時) (レス) id: 1e7a204824 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yanochin | 作成日時：2019年5月12日 0時
