嘘つきな君へ (ページ33)

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３３（Kiside）ページ33

「宏光、新しいシャツ買いに行こうと思うんだけど…」

秋物も出始めて、太輔は会社に着ていくシャツが欲しいみたい

「俺も行くっ！」

久々に2人で大きなショッピングモールへ出かけた

オシャレな太輔は行きつけの店がいくつかあって、普段着はその店で買ってるみたいなんだけど

「仕事着はね、そこまで高くなくていいの。枚数が欲しいからさ。」

とは言っても、営業の太輔は服装にもちゃんと気を付けてて、無職の俺からすれば結構良いお値段

「太輔、これは？」

「あ、それいい！さすが宏光。俺の好み分かってる～♪」

楽しそうな太輔を見ると俺も嬉しい

お揃いの食器や、くたびれ始めたクッションカバーを新しくしようかなんて

色々見ているうちに、帰りの荷物は両手一杯になった

「…さすがに疲れたね(笑)」

荷物に囲まれたまま二人でごろんと床に横たわって、しばしの休憩

「……お腹すいた。」

「ちょっと早いけど、夕飯にする？」

「そだな。俺用意するわ。」

「あ、ホント？ありがと♪…んじゃ、俺荷物片付けるね！」

用意と言っても、買ってきた惣菜を皿に盛って、味噌汁を作るくらい

嬉しそうにクッションカバーを付け変える太輔を時々見ながら、食器を出す

「見て！宏光、めちゃくちゃ可愛い！！！」

「ホントだ。やっぱりそっちの色にして良かっ……っつ…。」

突然襲った胸の痛み

発作だ…

いつもより強めの痛みに思わず胸を押さえて蹲った

「…宏光？」

太輔が不安そうに近寄って来ても、苦しくて笑って見せる事も出来なかった

「っ…はぁっ……くっ…」

「宏光っ！！！」

本当の事がばれちゃう

早く立ち上がらなきゃ…

思えば思う程、苦しくなる胸

何も言わず俺を見つめる太輔に不安が襲って

「だ…ぃ…じょ…ぶ…だから…。ちょ、っと…たち…くらみっ…」

太輔を見上げて一生懸命に伝えた

一瞬悲しそうに顔を歪めた太輔は、俺を抱きあげてベッドに運んでくれた

「…貧血かな…。……ホットタオル作って来るね。」

優しく頭を撫でて寝室を出ていく太輔を見送って、急いで薬を口に含んだ

「宏光、入るよ。」

しばらくして帰ってきた太輔

俺の様子を窺う様に寝室のドアからこっちを見つめている

いつもはそんな事言わずに入って来るだろ…

やっぱり太輔は…気付いているんだろうか…

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