嘘つきな君へ (ページ4)

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４（Fside）ページ4

「はぁ…」

「どした？太輔。」

なかなか超えられない店員と客との関係

思わずため息を漏らした俺に仲良くなった同じ大学のバイト仲間、渉が声を掛けて来た

「…何でもない。」

「悩みなら何でも聞くぞ。」

トレードマークの八重歯を見せながら笑う渉

一つ学年は上だけれど、上京してきた俺の世話をあれこれとやいてくれる優しい人

すぐに打ち解けて、今ではお互いに親友と言える存在だ

賄い飯を頬張りながら、チラチラと俺を見る渉に相談して良いものか一瞬迷った

だって、常連客が気になってるだなんて…

しかも相手は男性だ

あの頃の俺は自分のこの気持ちが恋だなんて思ってもなくて…

ただ、彼の事が気になるだけで…

それ以上の感情はないと思っていた

「あのさ…いつも窓際の席に座って本読んでる人いるじゃん。」

「…あぁ、ミツの事？」

「えっ！？渉、あの人の事知ってるの！？」

思わず身を乗り出した俺の肩を掴みながら、渉が

「落ち着け、太輔(笑)」

と俺を宥める

「あ…ごめん。つい…」

後から聞いた話では、この時渉は俺の気持ちに気付いたらしい

「…何？ミツの事…気になるの？」

「あ…いや…その…」

「ミツは、俺達と同じ大学に通ってるよ。まあ…俺達と違ってミツは教育学部だけどね。」

「えっ？教育学部って…めちゃくちゃ頭良いじゃん。」

「うん。でも、気さくで気取ってなくて、すげぇ良い人だよ。」

渉の言葉に、宏光のあの笑顔を思い出して

あぁ…俺の予想は間違ってなかった

あの人が良い人じゃない訳ないもんな

なんて納得していた

そして、今まで意識してなかったけど、もしかしたら同じ講義を受けてるかもしれない

明日、探してみようかな…

そんな事を考えていた

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