嘘つきな君へ (ページ27)

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２７（Fside）ページ27

昨日…

コンビニから帰った宏光は、ほんの少し顔色が悪かった

俺に背を向けて、必死に呼吸を整えるような姿…

今までなら気にならなかったような小さな仕草が見えてくる

見てしまったこと、正直に話そうか…

そうすれば、宏光に手を差し伸べる事が出来るのに…

けれど、俺に隠し通してきた宏光を思うと言えなかった

それに…自信がなかった

薬を見ただけで、こんなにも震えている自分に…

何も知らない振りをして過ごす時間

少しでも気を抜けば、自分の小さな変化を宏光に見抜かれてしまうんじゃないかと怖かった

会社にいても、常に宏光の事が頭の中を支配する

「…すけ…。……太輔っ！」

「…は、はいっ！……って渉か…」

「……お前どうした？今日なんか変だぞ？」

心配そうに顔を覗き込む渉をじっと見つめる

渉に話してみようか…

1人で抱え込むには辛すぎた

「今日さ…ちょっと時間ある？」

宏光には残業で少し遅くなると連絡をして、帰りに渉を呼び出した

会社近くのファミレス

「なんか食べる？」

「いや、宏光が待ってるから…。」

「そっか。俺食っていい？」

食いしん坊の渉はメニューを広げながら、どれにしようか迷っている

その姿が同じように食べる事が大好きな宏光とダブって…

「ミツとうまく言ってるみたいだね。今日は何作って……って…太輔？！」

ダメだった

我慢できずに溢れた涙

渉が驚いてメニューを思わず床に落としていた

「宏光の鞄から…薬がたくさん出て来て…」

そう言うと、メニュー表を取ろうとした渉の動きが一瞬止まった

「渉…何か知ってるの？」

何も言わない渉

それは逆に、知っているという事を全身で俺に伝えていた

「ね…渉…教えてよ、ホントの事…。俺もう…どうしたらいいか…」

テーブルの上に置かれた渉の手をギュッと握りしめ、縋るように渉を見上げた

全てを知る事は怖かった

渉の表情から宏光の抱える真実がとんでもなく恐ろしいものであることは容易に想像できたから

けれど、やっぱり…嫌なんだ

何も知らないでいる事…

宏光一人に、大きな荷物を背負わせていたくない

たくさん悩んで決心したんだ

どんな真実でも受け止めようって

「分かった…。全部話すから…」

渉の話した真実は…

俺の想像をはるかに超えていた

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