２４（Fside） ページ24
「宏光ぅー！実家から荷物届いてるよー！」
「分かったぁ！」
小さなボストンバック一つでここに来た宏光
宏光のお母さんから、洋服や食べ物が時々届くようになった
箱に貼られた送付状
ずっと探してた宏光の実家の住所をそっと指でなぞる
また…宏光がここからいなくなったら…
そう思う自分がいて、必要ないと思いながら実家の住所を覚えようとしてしまう
「…太輔？どした？」
箱を見つめたままの俺を不思議に思ったんだろう
宏光が首を傾げて立っていた
「あ…ううん。何でもない。」
不安を悟られたくなくて、慌てて荷物を持ち上げる
「今日もいっぱい宏光の好きなお菓子入ってんじゃないの？(笑)」
子供はいくつになっても親から見れば子供のまま
宏光のお母さんも同じ
宏光の荷物の中には、スナック菓子やせんべい達が所狭しと詰め込まれていた
「開けて良い？」
引き出しからカッターナイフを取り出して宏光に向き直ると、宏光が柔らかな顔で俺を見ていた
「…宏光？」
「……大丈夫だよ。」
「え？」
「俺は太輔の傍を離れたりしないから。」
「宏光…」
「もう黙っていなくなったりしない。実家にも…帰らないよ。俺は一生、太輔と一緒にいる。」
泣きそうだった
不安に押しつぶされそうになった時はいつも宏光が俺を救ってくれる
優しく微笑む宏光を思い切り抱きしめた
「うん…。ずっと俺の傍にいて。もう一生…俺から離れないで。」
背中に回る宏光の腕に力が籠るのが分かる
そうやって、俺が不安になる度に俺を抱きしめて…
ここにいるよって、宏光の温もりで証明してね…
「さ、荷物、片付けようか。」
少しずつ増えていく宏光の荷物に、喜びを感じる
「ここに宏光用のチェスト買おうか。」
「いいよ。部屋が狭くなる。」
いいんだ
部屋が狭くなったら、もっと宏光との距離が縮まるだろ？
ここは俺と宏光の家なんだって…
きっと増えていく宏光の家具を見る度に幸せが増えるって分かってるから
もっともっと俺に幸せを感じさせてよ
宏光がここにいるって証を
もっともっと…
ここに増やして…
.
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作者名：MISA
| 作成日時：2015年5月31日 21時
