２３（Fside） ページ23
「おはよ、太輔。朝飯出来てるよ。」
朝目覚めると、宏光が傍にいる
俺の髪を優しく撫でながら、天使みたいな笑顔で俺に話しかける
ずっと夢見てた
こんな日々を…
宏光のいなくなった部屋に住み始めた頃は
宏光との思い出はとめどなく溢れているのに、宏光の温もりが消えてしまったこの部屋に
居続ける事がどうしようもなく寂しくて…苦しかった
それでもここは俺と宏光を繋ぐ唯一の場所で
俺がここを出てしまったら、宏光との再会は本当の夢になってしまう事は分かってた
行き場の無い気持ちを、何度渉にぶつけただろうか…
渉はそんな俺にもいつも変わらず優しく微笑んで
「いつかきっと太輔の願いは神様に伝わるから…」
そう言って抱き締めてくれた
渉がいなかったら…
今の俺はいなかったに違いない
「宏光…」
朝日よりも眩しい宏光の笑顔にそっと触れる
「太輔？どうした？」
「夢じゃ…ないよね…？俺の目の前にいる宏光は…幻なんかじゃないよね？」
ずっと待ってたから…
待っても待っても手に届かなかったから
どうしても確かめてしまいたくなる
「夢じゃないよ。俺はちゃんと太輔の前にいる。俺の温もり…感じない…？」
頬に触れる手をそっと宏光の手が包んでくれる
その手の温もりに
あぁ…幻なんかじゃない
俺が求めていた本物の宏光だって実感する
「ね、宏光…」
「ん？」
「ここにも…宏光のこの温もり…ちょうだい…」
俺の唇に触れた人差し指で、宏光の唇をゆっくりとなぞる
宏光は頬を赤く染めて少し俯いた後、瞳を揺らしながら俺にそっとキスしてくれた
「どう？俺の温もり…伝わった？」
「…まだ…足りない…もっと宏光の温もりが欲しい…」
二人で抱き合って、沢山キスをして…
今の幸せを噛みしめている…
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作者名：MISA
| 作成日時：2015年5月31日 21時
