嘘つきな君へ (ページ3)

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３（Fside）ページ3

宏光との出会いは、バイト先のカフェ

と言っても、宏光はいつも壁際の席で静かに本を読んでいる常連客だった

毎日時間帯は違うものの、いつも窓際の席に座り太陽の光を浴びながらゆっくりと本を捲る…

その姿になぜか目を奪われた

話してみたい…

そう思うのに時間はかからなかった

けれど、人見知りの俺が自分から話しかけるなんてスカイダイビングするくらい大変なことで…

「いらっしゃいませ。」

「こんにちは。」

「ご注文は…」

「えっと…」

「いつものカフェオレでよろしいですか？」

これが精一杯

それでも驚いてメニューから顔を上げる宏光が、俺の顔を見ると、ふにゃりと笑って

「うん。それでお願いします。」

そう答えてくれたのが嬉しくて

これが俺達が交わした最初の会話

それからも

「いらっしゃいませ。」

「こんにちは。注文は、いつもの…」

「カフェオレですね。」

「うん(笑)よろしく。」

そんな会話を繰り返すだけの日々

もっと…もっと話してみたい…

気持ちだけが膨らんでいった

『今日はいい天気ですね。』

『どんな本を読んでるんですか？』

『家は近いんですか？』

いつもの会話から抜け出したくて、いっぱいシミュレーションしてみるけれど

人見知りの俺がそんな事出来るはずもなく…

「いらっしゃいませ。」

「こんにちは。いつものカフェオレを。」

「…//」

「…？」

「あの…えっと…」

「はい…？」

「し、新作のドリンクがあって…」

「あ…あぁ…。それ、おススメなの？」

「はいっ！」

「んふふ。じゃあ、それにしようかな。」

全然シミュレーションと違ってたけど

いつもよりほんの少し長めの会話に胸がどきどきした事

今でも鮮明に覚えてる…

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