嘘つきな君へ (ページ15)

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１５（Yside）ページ15

やっぱり嘘だった

この時ばかりは自分の勘の良さを恨んだ

「どうして分かった？俺の嘘…」

「太輔が会いたいって言った時に…ここには来るなって言われたって。そう太輔が俺に話した時に違和感を感じた。」

「…？」

「すぐに退院出来るなら…ここに来るな、はおかしいでしょ？ミツなら…そんな余裕のない答えはしないと思った。」

「横尾さんには嘘つけないな…」

困った時にポリポリと鼻をかく癖、変わってないね…

ミツはこの8年間…どんな生活をしていたの？

俺達は…

「太輔ね、ずっとミツの事探してたんだよ。ミツが大学辞めたって知った時にね…太輔、ショックで寝込んじゃって…。笑顔失くしちゃってさ。大学にもバイトにも来なくなって…立ち直るの、大変だったんだ」

ミツは知りたくないかもしれない

でも、俺は…知って欲しい

太輔の為にも…

「そっか…」

俯くミツ

ねぇ、ミツ…どう思った？

今何考えてる…？

「太輔ね、宏光が住んでたアパートに住んでるよ…今も。」

「え？」

「宏光がいつか帰ってくるんじゃないかって。電話番号も…あれからずっと変えてない。ミツが帰ってくるの…ずっと待ってるんだ。」

途端に目を潤ませたミツ

けれど、必死に唇を噛んで、涙を耐えているようだった

「本当はミツも…太輔に会いたかったんじゃないの？ずっと…」

堪えきれなくなった涙が、ミツの青白い頬をつたう…

「……会いたかったよ。……でも…会えなかった。」

「どうして？」

「太輔を苦しめてしまうから…」

ギュッとシーツを握りしめて、俺から顔を背けたミツの体を抱きしめた

「ミツの方が…苦しんだんじゃないの？……1人でずっと…苦しんでんじゃないの？」

小さかった震えが次第に大きくなっていく

「ね、ミツ…ミツは1人じゃない。こんな…小さな体に大きなもん背負ってんじゃねぇよ。いい加減、その重い荷物下ろして楽になったら？俺も、太輔も一緒に背負うからさ…」

「……ぐすっ……俺は…小さくなんか…ねぇ…。ちょっと…めり込んでるだけだ…」

「んふふ。そのセリフ…変わんないね。」

「うるさい…」

いくら悪態ついたって、俺の腕に必死にしがみついているその腕が

ミツの答えなんだろ？

素直に言ってよ

『助けて』って…

「ミツ…ホントの事、教えてくれる…？」

小さく頷くミツの体を外して、頬を濡らす涙をそっと拭った

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