１３（Yside） ページ13
太輔は、また涙を溢れさせながら、ポツリ、ポツリと今日あった事を話し始めた
病院で偶然ミツの名前を見つけた事
名札を見つめて立ちすくんでいた時、ミツに再会した事
ミツと二人で話した事
そして…
『もう来ないで』と言われた事…
太輔は、ここまでどうやって帰って来たか分からないと言った
それだけ、太輔のショックが大きかったんだろう
8年間待ち続けたミツにやっと会えたのに…
こんな残酷な事ってあるだろうか
ミツはどうして太輔を避ける…？
少なくとも8年前のミツは…
俺達の前から姿を消す前のミツは
太輔を友達以上に感じていたはず…
「宏光、何度も何度も…ごめんって…。なのに…どうして…っく…」
俺の腕の中で泣きじゃくる太輔に何も言えなかった
ただただ…
またあの時のように太輔が苦しまないようにと抱き締めてやることしかできなかった
ミツ…
『ごめん』の一言に、お前はどんな思いを詰め込んだ…？
その一言で、太輔に何を伝えたかった…？
俺はその真実が知りたいよ
ミツは太輔には来るなと言ったけれど…
俺は言われていない
なんて言ったら、ミツは「屁理屈言うな！」って怒るかな…？
怒られてもいいよ
俺はミツに会いたい
会って話がしたい
太輔の為にも…
「太輔、大丈夫。俺が傍にいるから…」
太輔を腕に抱きながら
俺は
太輔に内緒でミツに会いに行く事を決めた
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作者名：MISA
| 作成日時：2015年5月31日 21時
