音に込められた思い【実況者】*リクエスト募集中* (ページ28)

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吉原ラメント＠牛沢　１０００hit記念ページ28

江戸の町はいつものように夜の帳を駆け抜けて行く

鏡を見て全てを整えお応じるままに俺は動く

吉原(ここ)に来たのは何年前か忘れたけど

確かAをかばった時に連れて来られたんだっけ

まぁ、長らくここを出る事は無いだろう

「この向日葵の橙色って綺麗だよね？」

Aは向日葵が大好きだった

そんな輝く人になりたかったけどいつのまにか鈍色になる

それでも俺は安い男じゃねぇぞ

「俺はAのためだけに生きていたかったけれど、俺の隣に立つのは他の人ばかりで、、、」

偽りだらけの恋を交わして、俺は今日も抱かれる

苦しいぐらいに隠して、フリをして

「あんた、どうか俺を買ってくれねぇか？」

咲き出す傘の群れに埋もれる俺は涙雨

行き出す人達、楽しそうな声が狭いところで押し合うように聞こえる

今叶うことならば

「鳥かごから、外に出たい」

俺にはもう行くところなんてどこにも無くて苦しいけど

ここから見える外の景色だけはどんな時でも俺の涙を乾かしてくれた

ごっこ遊びの恋でまたあんたは俺を抱くんだな

俺の首元に咲き渡る花

頬には俺の涙が流れて行く

「あなた様どうかこの一晩だけの遊戯をしてくれないか？」

望まねぇ花が俺の首元を埋めてゆき

鈍く俺の心を引き裂いて行く

涙を帯びた俺の肌

望んで散る

果てて散る

「ようこそ、おいでくんなまし」

恋人ごっこの夜に

俺の口から漏れるのは吐息と情けない喘ぎ声

悲しいぐらいに演じた吉原は今日も雨

「あんた俺を、かってくれねぇか？」

そんなことを今日も思うだけど俺はやすくねぇ
簡単に人が買える値段ではない

「まじか…」

俺は知らぬ間に遊郭の一番に上り詰めていた

「これじゃ、誰もかえねぇじゃん」

そう溜息をついて首に付いた花を殴った

しばらくこの跡は消えないだろう

「牛沢、お前を買った人がいる」

突然店の主に呼ばれた、どうやら俺を買ったやつがいるらしい

「それ、誰だよ」

どうせ吉原で人を買うなんてろくな人じゃない

また、Aには会えないのだろう、、むしろ

こんな姿Aに見せるわけにはいかない

こんな花消えてしまえ

「たしか、Aっていうやつだったっけ」

「なっ、、」

「お前の思い人だろう？」

「なんで知ってんだよ？！」

「ふじってやつが言ってたぞ」

Aが俺を買った

でも俺には罪悪感しかなかった

もう俺はこんなに汚れってしまった

あの頃のような綺麗な人ではなくなった