【d!】兄達からの愛が受け止め切れないのですが。【kn】

第22話【兄妹】#？？ ページ24

？？視点
・・・・





玄関の前で足を止め、
今年もなんかな？とポストを覗く。





……あぁ、やっぱり。




可愛くラッピングされた黄緑色の小さな袋。
中にはチョコマフィンが入っている。




手に取ると､ヒラリと手紙のようなものが落ちる。
今更読んでいいのかと思うが、まだそれなりの
関係だからと自身に言い聞かせ、震える手で手紙を読んだ。





" お兄ちゃんへ "


そのマフィン、グルッペン先生に美味しい
って言ってもらえたよ。甘いの苦手だから、
甘さは控えめにしておいたけど、要らなかったら捨ててね。でも変なものは入ってないから。



そして、ごめんなさい。



結局、あの日からお父さんとお母さんと
顔合わせてないよね。もう二人ともいないけど、たまには家に顔出してね。




私は待ってるから。









＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿"響より"








「お前は何も悪くないのに…」




妹が笑わなくなってしまったのは、いつからか。両親が他界してから？それとも、俺が居なくなってから？





…遠い昔の話やし……もうええわ。
それに、縁を切るって言ったのは俺やし､
この関係を今後どうすんのかは俺が。
俺が、"兄"として決めなあかん。





「…ごめん」





嗚呼、今夜は満月か。





吐いた白い息は、自分の翡翠色の目から
溢れた涙と共に、静かに暗闇に消えていった。

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