【d!】兄達からの愛が受け止め切れないのですが。【kn】

第17話【甘えたい】 ページ18

・・・




いつもの電車に乗り、いつもの駅で降りる。
そしていつもの道を歩き、家に着く。





そういえば、朝からゾムさん以外(※一部を除く)と会っていない。




今日は鍵が掛かっていたので、ポケットから取り出して鍵を回す。





『ただいま』




「おかえり」





『ゾムさん…』




よかった…朝以来だけどゾムさんには会えた。




zm「…どした？しんどい？」




玄関でつっ立っていると、ゾムさんが
気づいて声を掛けてくれる。




何故か足…というか全身が重たくて、
靴を脱ぐことも、歩くことすらもしたくない。
だが、あまり心配を掛けさせる訳にもいかないので、大丈夫だと言って上がる。





zm「はよ着替えてき。もうすぐ飯やで」




キッチンへ向かうゾムさん。
私は、着替えようと自室のドアノブを握る。






＿＿何だろう、この気持ち。




何かが底で、つっかえている。





『ゾムさん…』




名前を呼ぶだけで涙が溢れる。
ゾムさんは進めていた足を止めて、此方に来てくれる。




嗚呼、ゾムさんも皆も優しいな。







zm「＿うわ！？………ｯと、どしたん？」





思いっきりゾムさんに抱きつくと、背中に
腕が回ってきて、ギュッと抱きしめられる。





『…構ってぇや』





zm「何でそれ知っとん…」




照れたのか、頭を撫でる手が一瞬離れた。





私は撫でられるのが好きだ。私が泣いた時、
ぎこちなく撫でてくれた兄の手も、
ぺ神さんの手も……そしてゾムさんの手も、
大きくて骨ばっているけど、私はその手が大好きだ。








今日は、甘えたい。




・・・・・





zm「お腹空いたやろ？飯食おか！」




今日もご飯を作ってくれたらしい。





『ありがとうございます』




心の底からの感謝。笑顔でそう伝えると、そっぽ向かれた。耳が赤かったのは気のせいだろうか。

〜追加設定〜→←第16話【エーミール先生】

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す