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カーテンの隙間から差す光に反応して目が覚めた


もぞ、と身体を動かすと必要最低限の物がある部屋

そうだ、ここは実さんの家だった。


昨日までの事が夢だった。なんて、都合のいい事は無い…よなぁ



部屋の掛け時計を見ると朝の5時を指していた
早起きの習慣はこちらでも抜けてないみたいだ


肘で上半身を起こすと、外に晒された肌がヒヤリとした




「んー…」



急に聞こえた声に目を向けるとまだすやすや寝ている実さん
俺が動いてしまったから、実さんも冷気を感じたのだろうか

身体を小さく蹲るようにして、また規則正しい寝息を立てていた
俺は申し訳ないなと実さんの肩まで布団を被せた


(そういえば…実さんの親御さんは?)


昨日はそこまで気が回らなかったが、家にお邪魔してからも
一切見かけてないな…

少し遅れたけど挨拶しないと、と思い
実さんを起こさない様に静かに布団から抜けた







部屋を出た俺は静かな廊下を歩く



人気がないような…
今は居ないのかな?

決して広くはない空間をキョロキョロと見ながら、
昨日飯を食べた場所に行くが、やはり人気がなく静かだ。


こっちの世界は今の時間まだ寝ているのか?


そうなったら、寝起きに挨拶というのも少々気が引けるな…


俺は諦めて実さんの部屋に戻った


再び布団に入る気も起きず、実さんの寝ている隣に腰掛けた



「え、」



ふと実さんを見て、思わず声が漏れた。
閉じられている目からシーツに染みた涙

さっきは普通に寝ていたのに。

匂いを嗅ぐまでもなく、悲しそうな表情の実さん



「…ん。……さん。」



誰かを呼んでる?



「お、母さ…ん。」



お母さん…


俺が聞こえた声と同時に、切なく悲しい匂いが一気に鼻を着いた


あぁ、"今いない"のではなくて

"もういない"のかもしれない。


そんな気がした。



会った時からしていた実さんの匂い


優しさと温かさに混ざった、奥底にある悲しい匂い


これだったのかもしれない、と



「実さん、大丈夫。」



昨日してもらった様に、俺は実さんの頭に手を置いて
根拠の無い大丈夫を発した


次第に最初の寝顔に変わる実さんを見て安心した俺は
しばらく彼女を眺めていた。

六→←四



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きょちゃちゃ - とても面白いです!特に伊之助のとこで笑いました!ww (2022年10月16日 3時) (レス) @page17 id: a2b9d0ac16 (このIDを非表示/違反報告)
啞雩漪(あおい) - 更新頑張ってください!面白いです‼ (2021年12月26日 7時) (レス) @page9 id: c4dfd681b0 (このIDを非表示/違反報告)
ハヤシノ(プロフ) - すきです!!続き待ってます…! (2021年12月24日 11時) (レス) id: 631874fedd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:1/4 | 作成日時:2021年10月1日 10時

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