どこ見てるぜよ。 (ページ5)

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しまった、寝すぎた。

今日はあまり日も出ておらん
風も少しあって寝るにはもってこいじゃな

そう思って久々に屋上で寝ておったが、予想以上に心地が良かったもんでな
気付けば部活が始まる数十分前じゃった。

｢真田にまたうるさくされそうじゃな…｣

頭の隅にたるんどる！！と目を釣りあげて言う真田が安易に想像出来た。

幸いにも時間はまだある。
俺は足速に部室へ向かうと、赤也が慌ただしく準備をしていた。

｢あれ、仁王先輩じゃないっすか！
今日は遅いんすね？｣

｢あぁ、ちょっとな。
赤也はいつも通りじゃなぁ。｣

適当に答えると、赤也はさして気にもせず
今日は間に合ってるっすよ！と高らかに言った

準備を終えた赤也はお先っす、と扉を開けると
入れ違いで幸村が入ってきた

珍しいのう、この時間なら幸村は既にコートにおる
そう思ったのは俺だけでは無く、赤也もだった

｢うぇ？！部長？ど、どうしたんすか？！｣

｢珍しいのう、忘れもんでもしたんか？｣

｢…あぁ、ちょっとね。｣

なんだか歯切れの悪い返答に幸村らしくない違和感を覚える

｢赤也、探したいものがあるんだ。
向こうに行ったら先に練習を始めていてくれと真田に伝えといてくれるかい？｣

｢？了解っす、じゃあまた！｣

伝言を頼まれた赤也はペコっと頭を下げ
小走りでコートへ向かう

幸村はやっぱり居ない…と呟いた

幸村の視線を辿ると、Aの鞄と制服が置いてあった。
Aは部室を出る前に必ずロッカーに仕舞うはず

｢居らんのか、｣

誰が、とは言わずに聞くと幸村はあぁ、とだけ返した

｢…俺が来た時にはもう鞄と制服だけだった。
でもコートに行っても一向にAちゃんが来ないんだ。｣

｢心当たりは？｣

｢他の部員に聞いたんだけど、トイレに向かって歩いてたのはみたって…｣

なんかあったんか？

｢幸村、お前さんは戻りんしゃい。
俺が探してくる。｣

そう言うと幸村は少し考えたあと
流石に部長がいないのはまずいと思ったようで
頼んだよ、と言って部室を出た

俺はさっと着替えて、コートと反対側に向かって
足を進めた。

｢何してるとるんじゃ、A…｣