【呪術廻戦】Faszination . (ページ4)

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饗庭A、東京都立呪術高等専門学校一年生。
等級不明の呪具『朝蜘蛛の被衣』を持つ。
着用時、饗庭A以外の人間は当人を12歳前後の少年と認識する。その際、饗庭Aの人格は自身を"牛若丸"と名乗る、やや傲慢かつ語気の強いものとなり、同時に身体能力を大幅に底上げする。
使用する術式の系統は三つと多様であり、最も高頻度で扱うのは『澄』。呪力において格下の呪霊を強制的に無力化し、冷水へと変質させる術。ルーツは牛若丸の"五条大橋伝説"において、水上の橋を飛び回り弁慶に討ち勝ったストーリーからだと考察されている。使用上限は不明。
子どもの頃遭遇した事故から呪術師としての素質を得、呪術高専から軽度の監視を受けるものの、その後『朝蜘蛛の被衣』に憑かれ、約12年間のコールドスリープ状態となる。

「晴れて目が覚めて、本日転入ってわけ！みんな！テンション上げて！」

五条悟は黒板を人差し指の関節で叩き、響いた軽い音と共に笑顔を作った。
現役高校生三人の表情は、やや硬い。

昨日の一件の後、饗庭は被衣を畳みリュックサックに入れた後、散歩するように帰っていった。
伊地知と合流した三人は呆然として、車で差し入れのクレープを食べた。閉店間際に伊地知が買ってきたというから、その気遣いにようやく気持ちが落ち着いた。

饗庭Aとは何なのか──考えに整理がつかないまま翌朝を迎え、目の前に当人がいる。
到底、テンションを上げて会話ができるような状態じゃない。

「ま、仕方ないか。もう既に見ちゃってるんだもんね。A〜、入ってきていいよ」

まつ毛がかつんと揺れる。美しい眼と、深く濁る髪、温度の低そうな肌。一般的な学ランのスタイルにショルダー型のトートを提げて一礼する。

「饗庭Aです、高校……浪人、みたいなあれですが、起きてる年数はほとんど同じなので……よろしくお願いします」

「はぁいよろしく。入学への経緯としては悠仁が近いから、仲良くしてあげてね」

「あー……呪具に取り憑かれた、みたいなあれ？」

「そう。Aの被衣には意志がある。悠仁が宿儺と話すみたいに、Aも被衣と意思疎通したりするんだ。宿儺よりは凶暴じゃないけど」

虎杖と五条が話している最中、Aはチョークを取り黒板に絵を描き始めていた。伏黒と釘崎の注目はもちろん絵の方に向かったが、Aはまるでその視線に気づかない様だった。
こいつもまた、イカれてる、のかもしれない。