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「はぁっ…やっと、見つけた。」
突然あいた扉にびっくりして顔をあげると、息を切らした井田先輩が立っていた。
『どうして…』
「やっぱり。」
私の前に来てしゃがむと心配そうな顔で手を伸ばし目尻をなでた。
「なんで、泣いてるの？」
『っ…』
先輩の優しい目にまた涙腺がゆるんで決壊したダムみたいにボタボタ溢れてくる。
『井田先輩の…好きな人はさっき一緒にいたあの人なんですねっ！』
涙が止まらないからせめて笑顔をつくった。
「…違う。全然違うよ。」
『えっ…だって…さっき、キスしてましたよね』
「キス？」
キョトンとする井田先輩。
わけがわからずじっと先輩の目を見つめた。
「…あぁ、あれかな。あの子の顔にまつ毛がついてたから払っただけで。それがそう見えたのかな。」
『えっ？』
話がうまく飲み込めない。
じゃあ私は盛大に勘違いしたってこと？
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作者名：ささき | 作成日時：2021年11月29日 20時
