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好きな人の好きな人 ページ30

結局、あの後家の近くまで井田先輩に送ってもらった。

緊張で記憶があんまりないけど…




何か考え込んでいる様子だった井田先輩。

阿部くんのことが好きかどうか聞くなんて、
少しは私のことを気にしてくれていると期待してもいいのだろうか。


…いや、ただの興味本位かなぁ。













今日私にはやるべきことがある。




『阿部くん、ちょっといいかな…』

「あ…うん。」





昨日の今日で少し気まずい阿部くんと教室を出て屋上に向かう。








「わー!俺屋上初めてきた!」

『私も。』





少し風があるけど天気が良くて気持ちいい。
このままお昼寝したいなーなんて思ったりするほど。






「昨日の返事、だよね?」


『うん。
…正直びっくりしたの。阿部くんがそんな風に思ってくれてるって全然気づかなくて。
でも素直に嬉しかった。ありがとう。』





まっすぐ目を見てくれる阿部くん。
あぁ、私こんなに良い人を今から傷つけてしまうんだ。





『だけど…ごめんなさい。私、好きな人がいるの。』




「うん。わかってたんだ。」






阿部くんは少し笑いながら目を伏せた。

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作者名:ささき | 作成日時:2021年11月29日 20時

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