はじまる初恋 (ページ23)

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「Aさん？」

『あ、せんぱ…』

「なにやってんすか。」

私に気づいた井田先輩はすぐに男性と私の間に入ってくれた。
ようやく腕も解放される。

「なんだよ〜友達って男？あ〜あ〜、最近のガキはませてるねぇ。」

はぁ〜なんて大きいため息をついて去っていく男性。

「おい！」

『先輩！大丈夫ですから…』

男性を追いかけようとする井田先輩を慌てて止める。

『すみません。ありがとうございました。』

ほんとに大丈夫ですよ！
ヘラリと笑ってみせる。

「…大丈夫じゃないでしょ。」

私の手をとりふわっと包む。
井田先輩の大きい手から優しさが伝わってきた。

「手、震えてるし。」

自分でも気づかなかった。冷静に考えてるつもりだったけど、やっぱり少し怖かったのかも。

『あー…まったく！やんなっちゃいますね！こんな時間に酔っ払いに絡まれるなんて、ついてないなー。あははっ』

なおも笑ってみせる私に先輩は何か言いたそうだったけど。

ふぅと一息吐いて言った。

「気をつけろよ」

『ふふっ。』

「ん？」

『私、先輩によく"気をつけて"って言われてる気がする。』

「あぁ…」

きっと優しさから、そうやって言ってくれているんだなぁって思うとじんわり胸が温かくなった。

ぽんっ

『えっ』

「なんかAさん見てると、こうしたくなる」

ぽんっぽんっと2、3回頭を撫でられた。

自分でも顔が赤いのがわかる。

『井田先輩…ずるい。』

それは無自覚ですか？

刺激が強すぎます。