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「………その様な事を、貴方様が許して下さるならば」



少し目を伏せて呟く男に、祖国は再び口付けをした。今度はもっと長く、深いもの。然し男はそれを拒否する事も無かった。



ただ、祖国が口を離す時を待つかの様な…いや、その時を噛み締めている様な、そんな風に。



また祖国が口を離せば、男は若干赤らんだ目元をしていた。その様子に何かしらの欲を擽られる感覚に陥る。



「良く分かりませんが…私は、私はたった二度会っただけの貴方にこうも惹かれております…
ど、どうして貴方は…」



「二度、ですか。

…私も貴方をどうも放って置けないような気がして。愛国心のある者など、今には溢れかえって居ます。それでも何となく、貴方が気になったのです」



男の瞳が一層潤んだ。それが何の感情によってもたらされているかなど、男は知りもしなかった。



ふるりと震えた腕で、そっと祖国の身体に触れる。



「私は国の為に命を散らしても良いと思っています。

ならば、ならば貴方の手で私を殺して頂けませんか。どんな方法だって構いません。
今私は、死んでしまいたいぐらいの感情に揺さぶられているのです」



「それは悪い意味で、でしょうか?」



いやに微笑んだ祖国の顔を見て、少し躊躇った後に男は口を開く。



「この態度でそれは無いでしょう」





背中に地面の冷たさを感じる。猛暑の為、本来地面は冷たい筈は無い。
ただそこが木陰であったという事か、男の体温が酷く上がっていた事かが影響してそう感じたのだ。



だが地面に熱が奪われる事は無かった様に思える。気温と、それから二人分の身体の熱が、それを上回ったのだろうか。

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凡夫(プロフ) - しょうゆだれさん» ありがとうございます!ゆるゆると更新していきますので是非とも見ていって下さい! (2月8日 0時) (レス) id: 4785ee1503 (このIDを非表示/違反報告)
しょうゆだれ - あなたの書く小説が大好きです!これからも更新楽しみにしてます! (2月4日 11時) (レス) id: cc28abac62 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:凡夫 | 作成日時:2024年1月21日 0時

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