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イギリスと生活を共にし始めてから彼はどんどん回復し、今ではかなり発展している。
最早独立しても良いのではないか、と言う程に。



しかし彼は未だイギリスの元に居る。
イギリスは愛情を込めて彼を育てた。だから離れずに居るのだと、そう確信していた。



自身の愛情に報いて、彼はずっと側にいると。
キッチンで忙しなく動く彼の光る金髪を眺め、そう思った。



「(今度は間違わない。やっと見つけたんだ、大切なものを)」



手の中で後悔を握る。あの時のような失敗はしない。自分の前に現れた天使は、もう逃さないのだ。



「…あ、そうだ」



彼が口を開く。その声に吸い寄せられる様に耳を傾ける。



「最近、近くに知らない奴がうろうろしてるんだよ。だから兵力を借りてもいいか?」



「そうなのか、なら俺が追い払っておく」



「いいや、自分でやる。いつまでも任せっきりにする訳にはいかないし」



「駄目だ、怪我したらどうする」



そんなイギリスの言葉に彼は眉を顰める。それは自分のやりたい事をやらせて貰えなかった子供同様に。



「イギリスが怪我をしていい理由は何だ?
俺とアンタはそんなに違うか」



イギリスは極力彼を戦わせたり危険な目に合わせないようにしていた。だから、彼は銃を握った事も無い。



それは傷付いて欲しくないという思いと、力を持って自分から離れて欲しくないという思いがあったからだ。



だが彼はそれを不満に思っていた。やれば出来るのに、やらせてすら貰えない。

イギリスは頭の隅で、制限し過ぎるのも良くないか、と考えた。



抑圧し過ぎて爆発されるのも困る。適度に発散させて保たなければ。



「…分かった。貸してやる。だが危なくなったらすぐ辞めて、俺に言うんだぞ」



「…!あぁ」



少し見開かれた瞳には喜びが宿っていた。
初めてボールを買ってもらって、遊び始める前のような。



その瞳に無邪気さしかない事を確認し、イギリスは安堵の溜息を漏らした。



この先続くであろう安寧の日々を思い浮かべて瞼を閉じる。彼が温かい紅茶と焼きたてのスコーンを持って起こしてくれるまで。

・→←死に至る情 イギリス



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凡夫(プロフ) - しょうゆだれさん» ありがとうございます!ゆるゆると更新していきますので是非とも見ていって下さい! (2月8日 0時) (レス) id: 4785ee1503 (このIDを非表示/違反報告)
しょうゆだれ - あなたの書く小説が大好きです!これからも更新楽しみにしてます! (2月4日 11時) (レス) id: cc28abac62 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:凡夫 | 作成日時:2024年1月21日 0時

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