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「利益にはなったがそりゃ何処とやったって同じ事だ。たまたまお前だっただけで。

なら恋人なんか辞めて他と組んだ方が良いじゃねぇか」



お前ももう疲れただろ、と男は言う。
それでも何も言わないドイツを見て少し溜息をついた。



「初めからお前は乗り気じゃなかったもんな。

…同盟やらなにやらをどうするかはお前に任せるよ」



落ち着きを取り戻してそう言った後、男はドイツに背を向けてそのまま足早に場を去ろうとする。
ドイツはその背中に何かを感じていた。



そして、男の手を掴む。

引き止められた事に驚いて男が振り払おうとした時、そのままドイツは男を抱き寄せた。



「はっ?おい、何だよ」



「恋人…というのは些か難しいものだな。手にしようと思えば離れて行く」



男がドイツを引き剥がそうとするも、鍛え抜かれた肉体相手には歯も立たない。大人しく今から始まるであろう説法を聞いてから去る事にした。



「俺は自分で何を望んでいるのか分からない。
お前にちゃんと振り向いて欲しいのか、俺の事をたまに思うぐらいでいいのか…」



「何が言いてぇんだ」



ドイツは男を抱き締める腕に強く力を込める。

男は若干痛みを感じたが抗議しても長引くだけだろうと何もしない。



「…お前を手放す気は無いという事だ」



本当に何がしたいのだ、と男は口にしそうになった。
第一男にはそこまで惚れ込む要素が無い。
勿論形だけだったという事もあるがドイツを放置し、そこら辺を遊び歩いていた。



嫌がるドイツを引き回して出かけもした。そもそもそれで男に何かしら感情を抱いたドイツもおかしいが。



「何故俺の手元を離れる意味がある?」



「……なんなんだよ」



喉から出た声は先程までとは違い弱々しいものだった。
何だか男は信じたくなかった。こんなお固い野郎が真剣に愛を説こうとしているのか?と頭の中でぼんやり思う。



「持ち物が無くなるのが嫌なだけだろ。
俺じゃなくたっていい、そうじゃねぇのか」



「何か大きな勘違いをしているな。例え持ち物であっても捨てる物は捨てるぞ」



では冗談抜きで男に惚れているのか?と一瞬思考を巡らせる。そう考えれば腑に落ちるような落ちないような、そんな気分になった。



「俺達はさっき別れたんだったな。

…なら今また告白すれば良いか?」



「まて、待て。分かった分かった。

……いや、その、やめろよ。なんか気恥ずかしい」

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凡夫(プロフ) - しょうゆだれさん» ありがとうございます!ゆるゆると更新していきますので是非とも見ていって下さい! (2月8日 0時) (レス) id: 4785ee1503 (このIDを非表示/違反報告)
しょうゆだれ - あなたの書く小説が大好きです!これからも更新楽しみにしてます! (2月4日 11時) (レス) id: cc28abac62 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:凡夫 | 作成日時:2024年1月21日 0時

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