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戦争末期、枢軸は追い込まれていた。このままでは勝てない。




そう誰もが確信した瞬間、彼はやっと公の場に姿を表した。


「俺はあの兵器をまだ持ってるんだぁ。
欲しかったらあげるよぉ」


彼の腑抜けた声とは裏腹に晒された真実。
周辺国は一気に彼の国へ攻め込んだ。


あの兵器を手にする事はかなりの抑止力として働く。その考えは連合も同じだった。


彼はあの兵器を使わないだろう。そう誰しもが思ったから。



彼とイタリアは相見えた。戦地の中心で。


「イタリア、久しぶりぃ」


その言葉に驚き、イタリアは彼を見る。
国の中で防衛戦があった為か、かなり傷付いた彼。


「…!!心配してたんだよ!俺も加勢しようと思って…」


ここは彼の国だった。イタリアはイタリアなりに彼を助けようと兵を出したのだ。


「うん。知ってる。ありがとぉ。でも沢山の人が来ちゃったけどね」


彼の最後の国防線はすでに突破されていた。後は降伏を待つのみ。
そんな状態でも彼は笑って話した。


「俺ね。考えたんだ。いつまでもイタリアが、あの花畑で笑える方法。」


そう笑う彼に、イタリアは悪い予感がした。
それはまるで、何百年も前に感じたものと似ている。


自分の手の中をすり抜けていったあの彼を思い出した。それが今、重なっている。


「まって、もういいよ。君は家に戻って、ただ降伏するだけでいい。関わらなくていいの」


その言葉は切羽詰まっていた。
彼のする事がどうであれ、彼には幸せでいてほしい。


最悪の事が、起こらないでほしい。


しかしその訴えは彼に届かなかった。彼は踵を返して行く。


それがイタリアの言うとおりにするためではないのは、イタリアが痛いほどよくわかっていた。


「まって、まってよ」


静止の声に男は一瞬立ち止まる。


そして振り返って、いつもと変わらない様子で言う。


「…もう、次からは自分で起きるんだよぉ」


男はその場を立ち去ってしまった。


それを止めるほど、イタリアに力は残されて居なかったから。

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凡夫(プロフ) - しょうゆだれさん» ありがとうございます!ゆるゆると更新していきますので是非とも見ていって下さい! (2月8日 0時) (レス) id: 4785ee1503 (このIDを非表示/違反報告)
しょうゆだれ - あなたの書く小説が大好きです!これからも更新楽しみにしてます! (2月4日 11時) (レス) id: cc28abac62 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:凡夫 | 作成日時:2024年1月21日 0時

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