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イタリアが手を引いて連れて行ったのは、街中から少し外れた花畑だった。
一面に咲き乱れる花々は、人々に忘れ去られてなおひっそりと咲き誇っていた。
「わぁ……」
隣で感嘆の声を漏らす男を見てイタリアは微笑む。
男はしゃがみ込んで花々を見つめる。
「綺麗だねぇ。こんなところあったんだぁ」
「でしょ?ここは俺の思い出の場所なんだ」
彼の言う「思い出」が何なのかは男には分からなかったが、今はこの綺麗な花々と隣に居るイタリアの切なさと慈愛に溢れた顔を見るだけで十分だった。
「じゃあ、これからは俺との思い出にもしてね」
そう言って笑えば、イタリアも笑って「もちろん」と返す。
暫くぼーっと花畑を眺めていた男の頭に、軽く重みが足された。
手で触って確かめようとする。すると、それは花冠だった。
「えへへ、それはプレゼント」
たった少しの間に完成された花冠は、言葉にできない温もりがあった。
男は花冠を少し触った後、幸せそうにはにかむ。そして、彼はイタリアに向けて言う。
「何百年経っても、ここで俺にまた花冠を作ってくれる?」
イタリアは少し間を置いて、男の手を取って言った。
「もちろん。俺達はずっと友達だからね」
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凡夫(プロフ) - しょうゆだれさん» ありがとうございます!ゆるゆると更新していきますので是非とも見ていって下さい! (2月8日 0時) (レス) id: 4785ee1503 (このIDを非表示/違反報告)
しょうゆだれ - あなたの書く小説が大好きです!これからも更新楽しみにしてます! (2月4日 11時) (レス) id: cc28abac62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凡夫 | 作成日時:2024年1月21日 0時