・ ページ43
歩き出した彼女の後ろをついていきながら考えていると、前を歩いていた彼女は歩調を遅くして隣にきた。
「久しぶり、覚えてる…？私、中1で同じクラスだった」
「あぁ、藤浪だろ。覚えてる」
「覚えてくれてたんだ…!嬉しい、もう三年前の話だし、それも一回しか話したことなかったからもう忘れられてるかと…」
「伏黒記憶力いいもんな!」
「声でかいわよアンタ!!」
『ちょ、二人ともしぃーー!!』
「(…聞こえてんだよ)」
背後から聞こえる聞き慣れた同級生達の声。
ピクつく伏黒のこめかみ。
振り返ってやろうと思った時、隣からグイッと腕を引っ張られた。
「ここ、ここだよ」
「あ──？あぁ、確かに綺麗だな」
「でしょう？ここら辺じゃ結構有名なフォトスポットでね、特にその、カップルとかが──」
「…腕いいか」
「あっ、ご、ごめん」
常時赤かった顔を更に赤くして腕を離した藤浪に少しだけ伏黒の良心が傷付いて申し訳なくなる。
彼女は慌ててスマホを用意すると、カメラアプリを内カメにして上からの角度になるようにスマホを持った腕を上げた。
カシャッ、と乾いたシャッター音。
『野薔薇…あれ…』
「えぇ…あの女ふわふわした見た目しといてかなりやり手ね」
「えっなんで？？」
「よく見なさい虎杖。スマホ縦向きにして写真撮ってるでしょ。普通ツーショなら横向きにするのにわざわざ縦にしてんのよ」
「だから、それが何でやり手なんだよ」
「はぁー？鈍いわねアンタ、縦の方が必然的に写真撮る時の距離が近くなるでしょーが!!」
「!!!すげぇ、そんな手が…？!」
いつも通りの茶番を繰り広げる虎杖と野薔薇を横目に、Aは一人無意識に胸を抑えて黙り込んでいた。
『(なんだろう…何か気持ち悪いかも)』
『やだなぁ、今から中華なのに…』
「え、A中華やだ？」
『違う。餃子めっちゃ食べたい。でもなんか今急に心臓とか肺とか痛くて…』
「えっ…？」
そんなAの緊急事態など知る由もなく、伏黒は任務終わりにまた一つ任務をこなしたような感覚でポケットに手を突っ込んでいた。
隣には変わらずスマホを握りしめ、撮った写真を確認している中学の同級生、藤浪。
顔を上げた藤浪は、スマホを握りしめて笑った。
「ありがとう…!宝物にするね」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 471人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Uo(プロフ) - 無さん» コメントありがとうございます❕イラストを載せるのは緊張するので、そう言っていただけると嬉しいです😖 (6月5日 1時) (
レス) id: d9295642a6 (このIDを非表示/違反報告)
無 - 絵うっっま！！！お話の方もサクサク行かせてもらってます！ (2022年12月27日 15時) (レス) @page36 id: 97d79e1a3f (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - 鈴さん» こちらのミスです、すみません😖修正したので、見られるようになったと思います…! (2022年12月20日 15時) (レス) id: 37eb27a647 (このIDを非表示/違反報告)
鈴 - すみません、夢主ちゃんの画像が見れないのですが…… (2022年12月5日 18時) (レス) @page9 id: e67e995d1b (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - アオちゃんさん» コメントありがとうございます❕そんなにお褒めの言葉を頂けるなんて、感激です…!!😖ご期待に応えられるよう頑張ります! (2022年10月3日 23時) (レス) id: 6bc61cb134 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：とま | 作成日時：2022年9月13日 1時
