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「誰が言い始めたんだよそれ。ってか、あの子この中学の子じゃねーし」
「でも実際、あの看板娘に釣られてわざわざここに転入した一年がいるらしいよ」
「は、マジ?すげー熱意」
「それもう熱意ってより…ストーカー?」
「ま、そいつも馬鹿だよな〜、この中学治安悪いし…あの子だって──伏黒さんが卒業しちまったらもうここに来ることもないのにな」
「…」
男子生徒の口から出てきた自分の名前。
「あ、やっぱり?やっぱ伏黒さん待ちだったか」
「くそー、いいなー」と悔しそうに喚く男子生徒の声を教室の外の死角で聞きながら、ちょっと気まずいがそろそろ教室に入ろうとした時、そこに女子の声が加わった。
もう放課後だろ、早く帰れよ…人のこと言えねぇけど、
小さく溜息をつくと、話に加わった女子の少し興奮したような声が聞こえた。
「私、この前一緒に帰ってるの見た!それでさ、ヤバいの見ちゃったんだよね!!」
「え、なになに?」
「──伏黒くんが、笑ってるとこ!」
「(は?)」
「「はあ?!」」
「…笑うのか」
「笑うんだよ!なんか萌えちゃうよね〜!」
「「ね〜!」」
「…」
「何がね〜、だ」と言いたいところだが、流石に踏みとどまる。
そしてまた聞こえる男子生徒の声。
廊下まではっきり聞こえてるって…声がデカすぎるだろ、
「オマエらはいいよな〜、そんなこと言っても伏黒さんに目付けられたりしないんだから」
「目付けられるって…それ相田とかをいじめてる奴らだけじゃん」
「それかあの看板娘に近づこうとした奴な。知らないの?一個下の後輩がさ、手首捻挫って…捻挫だぞ?」
「俺それ見ちゃった…ソイツが看板娘の肩後ろから叩こうとしたらさ…その背後から真っ黒い影が現れて…」
「心霊現象みたいに言うなよ。完全に伏黒さんだろ」
「えー!なんか、独占欲って感じで萌えちゃうよね〜!」
「「ね〜!!」」
「…オマエら結局顔だろ」
一人の男子生徒のその呆れたような声を聞き終わって、やっと伏黒は教室の扉を開けた。
急に開いたドアに驚いて、入ってきた人物を見て息が止まったかのように静止した男女生徒達。
聞かれてたら殺されるとでも思っているのか。
その様子を見もせずに、伏黒は自分の机の横からカバンを取って、またチラリとも見ずに教室を出た。
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Uo(プロフ) - 無さん» コメントありがとうございます❕イラストを載せるのは緊張するので、そう言っていただけると嬉しいです😖 (6月5日 1時) (レス) id: d9295642a6 (このIDを非表示/違反報告)
無 - 絵うっっま!!!お話の方もサクサク行かせてもらってます! (2022年12月27日 15時) (レス) @page36 id: 97d79e1a3f (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - 鈴さん» こちらのミスです、すみません😖修正したので、見られるようになったと思います…! (2022年12月20日 15時) (レス) id: 37eb27a647 (このIDを非表示/違反報告)
鈴 - すみません、夢主ちゃんの画像が見れないのですが…… (2022年12月5日 18時) (レス) @page9 id: e67e995d1b (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - アオちゃんさん» コメントありがとうございます❕そんなにお褒めの言葉を頂けるなんて、感激です…!!😖ご期待に応えられるよう頑張ります! (2022年10月3日 23時) (レス) id: 6bc61cb134 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とま | 作成日時:2022年9月13日 1時