37話 ページ37
『見て、こんなに酷い荒れ模様は初めて』
「本当。酷い天気だね……A、雷大丈夫かい？」
『ヘーキ!急に鳴ったらびっくりするけど。実はね、私よりロンの方が雷が苦手なの!大雨の日は一人で寝られなくて──』
「A!何年前の話だよ……!!」
ロンが言い終わらないうちに大広間の扉が開いて、広間の生徒がしん、と静まった。
マクゴナガル先生を先頭に列を作って入ってきた一年生たちは湖を泳いできたのかという程濡れていて、寒さと緊張で震えている──一人を除いて。
一際小さい男の子が厚手木綿のオーバーに包まって、ちょこんと出した顔は興奮しきっていた。
『ハリー、ハリー。きっとあの子がデニスだね』
「お兄ちゃんそっくりじゃない」
「……ちょっと誰かにも似てないか？」
ロンの目線の先には、A。
『ロン!!私は──湖に落ちて喜んだり、しません!!』
ハリー達三人が笑っていると、マクゴナガル先生が丸椅子に古びた三角帽子を置いた。
組み分けの儀式が始まる。
しんと静まったタイミングを見計らって、帽子の鍔に沿った破れ目が口のように開いて歌い出した。
＊
組み分け帽子が歌い終わると、大広間に割れるような拍手が響いた。
「僕たちの時と歌が違う」
『毎年違う歌なのよ』
「きっと、すごく退屈なんじゃない？帽子の人生って。多分、一年かけて次の歌を作るんだ」
マクゴナガル先生が羊皮紙の太い巻紙を広げて名前を読み上げ始めた。
各寮に振り分けられた新入生達は、寮生たちに拍手で迎えられている。
ハリー達も、小さなローブに包まれた新しいグリフィンドール生たちを迎え入れた。
「………デニス・クリービー!!──グリフィンドール!!」
ハリーがホッとしながら手を叩く中、デニスは急いで兄のところにやって来た。
「コリン、僕、落っこちたんだ!すっごかったよ!そしたら、水の中の何かが僕を捕まえてボートに押し戻したんだ!」
「すっごい!!」
デニスは容姿通りの甲高い声で興奮しきった様子で、コリンも同じくらい興奮している。
似たもの同士の兄弟だ。
「多分それ、デニス、大イカだよ!」
「ウワーッ!」
この子と私って似てるのか……と少し複雑な気持ちになるA。
流石にこの大雨の中キンキンの湖に落ちたくないし、大イカに助けられたことを「こんなに素敵なことはない!!」という感じで話はしないのに。
「デニス!あそこにいる人、ね？黒い髪でメガネをかけてる人、ね？見える？デニス、あの人が誰だか知ってる？」
ハリーは気まずくそっぽを向いた。
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とま(プロフ) - 平野澪さん» コメントありがとうございます❕気長にお付き合いいただけると嬉しいです…!! (2022年7月8日 1時) (
レス) id: d352a8403d (このIDを非表示/違反報告)
平野澪(プロフ) - 面白かった！！！！ (2022年7月7日 19時) (レス) @page50 id: 46f0f08380 (このIDを非表示/違反報告)
とま(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます❕嬉しいです…!!頑張ります🔥 (2022年6月3日 1時) (レス) id: 168ae22990 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - これすっごく面白いです！！ 続き楽しみにしてます！ (2022年6月1日 20時) (レス) id: 4bcda9126d (このIDを非表示/違反報告)
とま(プロフ) - to_mi_ta_20さん» コメントありがとうございます!!すごく嬉しいです…!!更新が本当に遅いですが、最後まで完結させるつもりなのでお付き合い頂けると嬉しいです❕ (2022年5月23日 22時) (レス) id: 168ae22990 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とま x他1人 | 作成日時：2022年5月6日 15時
