28話 ページ28
ロンの顔がみるみる恐怖に打ちのめされたような顔に変わっていく。
「エーッ!!」
「ドレスローブです!」
おばさんの容赦ない一言で、ロンはトドメを刺されたようだ。
「学校からのリストに、今年はドレスローブを準備することって書いてあったわ──正装用のローブをね」
「悪い冗談だよ……こんなもの、ぜぇったい着ないから!!」
「ロン、みんな着るんですよ!パーティ用のローブなんて、みんなそんなものです!お父様もちょっと正式なパーティ用に何枚か持ってらっしゃいます!」
「こんなもの着るぐらいなら、僕、裸で行くよ」
「聞き分けのないこと言うんじゃありません!!」
目の前で繰り広げられている言い合いを聞きながら、数十分前を思い出した。さっきの屋敷妖精の論争といい、今日はみんな血の気が多いのだろうか。
あの時はえにしとハーマイオニーをハラハラと見守っていたロンが、今はおばさんと睨み合っているけど。
「ドレスローブを持っていかなくちゃならないんです。リストにあるんですから!ハリーにも買ってあげたわ。ハリー、ロンに見せてやって」
突然自分の名前が出て、顔には出さずにギョッとした。
ロンほど嫌がりはしないけど、ロンのドレスローブはなんと言うか……すごく独特で、奇抜で……つまり、着る人をすごく選ぶと思う。
これを着るなら裸で行く、とまではいかないが、恥ずかしいのは事実だ。
でももしこれがウィーズリーおばさんの趣味なら、この包みに入っているハリーのローブは恐らく──……
恐る恐る包みを開けてそれらしい服を取り出して見ると、それは想像とは全く違って、全然酷くなかった。
黒ではなく深緑色の、制服とあまり変わりないローブだ。
心の中でホッとして、その後すぐロンに猛烈に申し訳なくなる。
「あなたの目の色によく映えると思ったのよ」
「そんなのだったらいいよ!!どうして僕にもおんなじようなのを買ってくれないの？」
「それは……その、あなたのは古着屋で買わなきゃならなかったの。あんまり色々選べなかったんです!」
怒ったロンにそう答えたおばさんの顔がサッと赤くなったのを一瞬見て、ハリーはすぐに顔を逸らした。
僕の金庫から下ろしたお金で、ロンにも同じようなローブを買ってくれればよかったのに。
グリンゴッツ銀行にある自分のお金を、ウィーズリー家の人たちと喜んで半分わけにするのに。
でもおばさん達はきっとそれを受け取ってはくれないだろう。
何年か前に、Aも同じようなことをおばさん達に言って断られていたのを思い出した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 419人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハリーポッター」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
とま(プロフ) - 平野澪さん» コメントありがとうございます❕気長にお付き合いいただけると嬉しいです…!! (2022年7月8日 1時) (
レス) id: d352a8403d (このIDを非表示/違反報告)
平野澪(プロフ) - 面白かった！！！！ (2022年7月7日 19時) (レス) @page50 id: 46f0f08380 (このIDを非表示/違反報告)
とま(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます❕嬉しいです…!!頑張ります🔥 (2022年6月3日 1時) (レス) id: 168ae22990 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - これすっごく面白いです！！ 続き楽しみにしてます！ (2022年6月1日 20時) (レス) id: 4bcda9126d (このIDを非表示/違反報告)
とま(プロフ) - to_mi_ta_20さん» コメントありがとうございます!!すごく嬉しいです…!!更新が本当に遅いですが、最後まで完結させるつもりなのでお付き合い頂けると嬉しいです❕ (2022年5月23日 22時) (レス) id: 168ae22990 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：とま x他1人 | 作成日時：2022年5月6日 15時
