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急にフラフラと荷台に近づいたAが、何も言わずにペタペタと虎杖の腕やら顔やらを触り始めた。
「あ、…あの、久我、さん??」
『…』
「おーい、あれ、おーーい、Aさーん…?」
瞬きもせず虎杖に触れる手はついに両手になり、逞しい胸板をペタペタと撫でたりさすったり、Aの手は忙しなく動く。
普段そんなことをされたことは無かった上に、確認するようなその優しい手に虎杖がじわじわと赤くなる。
「…………あの、Aさん、?チョット恥ずかしいんスけど──、え、」
『…』
虎杖の切実な言葉も聞こえていない様子のAは、ついに虎杖の胸元に顔を寄せた。
正確には顔、というより耳を寄せたのだ。
えぐり取られた彼の心臓が、本当にそこにあるのか、
「ちょ、ちょいA──」
『ドクンドクンって、これ、虎杖の…?』
「え、…うん、俺の…俺の心臓デス」
『ほんとにほんと…?だって虎杖はし、死んじゃったって、』
「あーー、それは──、」
実は、と話そうと思って、止まった。
京都の学長やら色んな人がいたというのもあっただろうが、それよりも今自分の胸元に耳を寄せるAが小さく震えているのを感じたのだ。
「ごめん、俺、死にそうになったけどさ…ここにいるよ、大丈夫」
こんな風に震えさせたのは自分だと思うと同時、ほぼ衝動的に虎杖がAを引き寄せると、Aの手が虎杖の制服にしがみつく。
その力がやっぱり弱々しくて、更に心臓が締め付けられた。
『やだぁぁ、ほんとに生きてるのぉ、い"た"と"り"ぃいい、』
「ヤダ?!!」
『うれじい、よか"った"ぁぁぁあ、!!』
封を切ったようにびえんびえんと泣き出したAを慌てて慰める箱の中の虎杖。
「………Aサン、あの、そろそろ…俺下手したらもう一回殺されちゃうから、」
『なにそれ、死んだばっかのくせに、そんなこと言っちゃうんだ、!!』
「いや、ほんとに──」
「…おい、いつまで抱いてんだよ」
「ほらね!!?あの、違、伏黒これは──腕が勝手に、って言うか──」
本当に人を殺しかねない伏黒の鋭すぎる視線にビビりながら弁解していると、ガン!!と蹴りが入った。
ギギギ、と目線を移動すると、目にうっすら涙を浮かべた釘崎。
「おい」
「あ…はい」
「何か言うことあんだろ」
「生きてること、黙っててすんませんでした…」
虎杖、合流。
*
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Uo(プロフ) - 若葉さん» コメントありがとうございます❕今とまのアカウントの端末が動かないので、違う端末で返信させて頂きます。温かいコメント、本当にありがとうございます!不定期な更新ですが、お付き合い頂けると嬉しいです! (2022年9月4日 23時) (レス) id: 6bc61cb134 (このIDを非表示/違反報告)
若葉 - も、とっても最高です!がっつり甘めって感じではなくて、ちょうどいい感じの好かれ具合なのでとってもいいです。更新楽しみに待っています! (2022年8月27日 21時) (レス) @page41 id: 7981b3d9d1 (このIDを非表示/違反報告)
とま(プロフ) - わか丸さん» コメントありがとうございます❕伏黒恵に好かれる女の子ってキャラ的に難しい…って思ってたので、そう言って頂けると嬉しいです!🤍 (2022年8月14日 15時) (レス) id: f3920fcf38 (このIDを非表示/違反報告)
わか丸 - 夢主とっても可愛いです!! (2022年8月14日 1時) (レス) @page33 id: 79fd85110e (このIDを非表示/違反報告)
とま(プロフ) - てぃんさん» コメントありがとうございます❕嬉しいお言葉に感動しています…!楽しんで頂けるよう、頑張ります!! (2022年8月3日 20時) (レス) id: d352a8403d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とま | 作成日時:2022年6月14日 18時