【呪術廻戦】呪われないでね

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『わあ、ナイスバディだね。お兄さん』



「おう、そうか。俺の魅力に気づくとは、素質があるな。……少々小さいが」


『何が？ねぇ、何が？？？』


「しかしその愛くるしくかつ凛々しい顔立ちは良い。俺の好みだ…名前を聞こう」


『……釘崎野薔薇』

「殺すぞ」




しまった、偽名にする相手を間違えてしまった。


目の前の巨体より文字通り鬼の形相の野薔薇が怖すぎて、震える声で名前を言うと何故か満足そうに笑う巨体。




「久我Aか、可愛らしいその風貌にぴったりのいい響きだな」


『えへ、ありがと』


「久我A……よし、Aちゃん」


『え、』


「俺が牛乳を買って君にプレゼントしよう。背が伸びるぞ。あとは──」


『うわ、お尻見たな!!私のお尻、お尻見られたあ!!!』



ヘンタイ!!と指さしながら言うと、またもや伏黒にグイッと引っ張られて今度は彼も一歩前に出た。


目の前に彼の背中を見ながら、その表情は怒っているように見える。



その眉間の皺に爪楊枝させちゃうんじゃない？ってくらい深くて、目付きもいつもの三倍悪い。怖い。




『もう!!黙って聞いてればセクハラ発言とかタイプ教えろとか…!失礼なことばっかり言うじゃない!』



「少しも黙って聞いてなかっただろ」

「ひたすら茶々入れてたわよね」


『恵、何か言い返して!』




恵の背中越しに思いっきりデカい男の人を睨んでベーっとするAを、まだ下がってろ、と言わんばかりに背中に押し戻す伏黒。



何か言ってやらないの？と見上げられた視線に、無言を貫いていた伏黒がゆっくりと口を開いた。




「なんで初対面のアンタと女の趣味を話さないといけないんですか」


「そうよ。ムッツリにはハードル高いわよ」


『知りたくば京都の美味しいお土産を差し出せー!』


「…オマエらは黙ってろ」




「ただでさえ意味分かんねー状況が余計ややこしくなる」と伏黒。


タイプの女の子は答えたくないみたいだ。



私は割と気になるなあ、でも恵のことだから無難に「価値観が合う人」とか全然盛り上がらないこと言いそうだ。まずい、それだと半殺しにされちゃうよ。




「京都三年、東堂葵。自己紹介終わり。これでお友達だな。早く答えろ、男でもいいぞ」



「性癖にはソイツのすべてが反映される。女の趣味がつまらん奴は、そいつ自身もつまらん。俺はつまらん男が大嫌いだ」





女の趣味が──のくだりもだけど、今一番の衝撃は彼の名前が"葵"ということだろう。

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