退屈 ページ44
「自販機、もうちょい増やしてくんないかしら」
「無理だろ。入れる業者も限られてるしな」
『6本かぁ、じゃあ恵3本、野薔薇2本、私2本ね』
「...割り算できねぇのかテメェはよ、」
「勉強全般苦手なんだ、許してやってくれ」
─退屈─
結局、男女平等という指針のもと1人2本ずつペットボトルを持って、自販機を離れ訓練場に戻ろうと踵を返した。
敷地が無駄に広いだけに、少し水分補給をしようとしただけでこの労働力。
恐るべし、呪術高専である。
三人がさっさと戻ろうとすると、来た道の向こうに太陽を背にした2人分の影があった。
今どきなかなか見ないくらいガタイのいい男の人と、黒のノースリーブとショートカットが涼しげな女の人。
「なんで
「あ、やっぱり?雰囲気近いわよね。姉妹?」
『うん、しかも双子のね』
彼女の名前は禪院真依。名前からも見た目からも分かる通り、真希先輩の実の双子の姉妹だ。
確か、真希先輩がお姉ちゃんって言ってた気がする。
まだ小さかった頃、家系のいざこざで恵が五条先生と禪院家に足を運ぶことになって、ちゃっかりついて行った。
その頃の五条先生は今とちょっと違ってたけど、恵は一緒に来て欲しいって言ったから。
だけどその頃から私は、この真依さんにあんまり好かれていない。
「嫌だなぁ伏黒君。それじゃあ真希と区別がつかないわ。"真依"って呼んで?」
『真依先輩』
「は?アンタに言ったんじゃないわよ。ヤダ、まだ性懲りも無く伏黒君の周りウロチョロしてんのね」
『ちょっと、ウロチョロなんてしてないよ!私、恵の周りはちゃんといつも堂々と歩いて──』
「馬鹿、真に受けんな」
失礼な!と憤慨していると恵に引っ張り戻された。
見ると、若干呆れた顔の野薔薇。
『どうしたの?』
「どうしたのじゃないわよ。何、アンタあの女に嫌われてんの?」
『うん。そうみたい』
理由は何となく分かる。
昔のことだけどはっきり覚えている。初めて会った時の真依先輩が恵のことを見る目。
子供ながらに感じ取った、普通じゃない感情。気づいて少し不安になった。
彼と一緒にいた私が気に食わないのもある意味当然と言ったら当然だ。
今はそこまで本気じゃないのかも知れないけど、恵が初恋の人であることも、私のことが嫌いなことも、それは何にも変わってないんだろう。
840人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
歌詞 - 特急が取り込んでいたのか (3月22日 17時) (レス) @page32 id: 2b3270be69 (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - るるさん» コメントありがとうございます❕かわいい性格に書けていたならとても嬉しいです😖スタンドバイミー、いつ見ても名作ですよね…!! (6月5日 1時) (レス) id: d9295642a6 (このIDを非表示/違反報告)
るる - まって、、夢主かわいい💕 てか、スタンドバイミー最高ですよね!リバーフェニックス私も好きー!クリスは性格もイケメンだし、、、。 (2023年5月5日 0時) (レス) @page3 id: 7b5dad0b18 (このIDを非表示/違反報告)
とま(プロフ) - †NANA†さん» 詳しく教えて下さり本当にありがとうございます…!!誤字が多くて申し訳ないです😞 (2022年8月14日 20時) (レス) id: f3920fcf38 (このIDを非表示/違反報告)
†NANA†(プロフ) - ページ32と33で、「特級」が「特急」になっています。 (2022年8月13日 16時) (レス) @page35 id: 9dc612bbe9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:とま x他1人 | 作成日時:2022年5月17日 0時