【呪術廻戦】呪われないでね

呪胎戴天-参- ページ32

「(生得領域が閉じた...!!特級が死んだんだ)」






あとは虎杖が戻れば──、









「ヤツなら戻らんぞ」






ダラリ、と不快な冷や汗が伝った。




宿儺がここにいる理由、虎杖は自分の体に戻れなくなっている、




ビリビリと虎杖の制服を破った宿儺は、自分の胸から心臓を取り出した。






「なっ、!!」



「小僧を人質にする」





「俺はこれなしでも生きられるがな。小僧はそうもいかん。俺と代わることは死を意味する。更に──」






「──駄目押しだ」






宿儺の指──!!特急が取り込んでいたのか、!!







「さてと、晴れて自由の身だ。もう脅えていいぞ」








「殺す。特に理由は無い」



「...あの時と立場が逆転したな」








─呪胎戴天-参-─









不平等な現実のみが平等に与えられている







「...虎杖は戻ってくる。その結果自分が死んでもな。そういう奴だ」



「買い被りすぎだな。コイツ他の人より多少頑丈で鈍いだけだ。先刻も今際の際で脅えに脅えゴチャゴチャと御託を並べていたぞ」






「断言する。奴に自死する度胸は無い」



「(腕が治ってる、治癒...反転術式が使えるんだ)」







宿儺は受肉している。心臓なしで生きられるとはいえ、ダメージはあるはずだ





虎杖が戻る前に、心臓を治させる





心臓を欠いた体では俺には勝てないと思わせるんだ








できるか──？特急の前ですら動けなかった俺に、











「(できるかじゃねぇ、




やるんだよ──!!)」









「折角外に出たんだ。広く使おう」








影から現れた鵺と共に一気に懐に入り込み殴り掛かる。







完全に勝つ必要はない、心臓を治させることが重要だ







追い込め──!!






「"大蛇"」






大蛇が拘束した背後から鵺が宿儺の首を狙う。





「畳み掛けろ!!!!」





しかし、甘かった。



宿儺に噛み付いていた大蛇が一瞬で粉砕されて、気づけば背中を捕まれ空中に投げ飛ばされていた。






「言っただろう。広く使おう」



「(呪力うんぬんじゃない...!!パワーも、敏捷性も、!!格が違う──!!)」




空中で避けも受け身も取れない状態での宿儺からの攻撃を、間一髪飛んできた鵺の翼によって半減させる。


ギシギシ、と翼が鳴るのが痛々しい。






「いい術式だ」




そのまま衝撃を吸収するように落下して、建物の瓦礫の中で何とか頭を働かせる。





「(鵺も限界だ、壊される前に解いた方がいいな、)」

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