【ハリーポッター】魔女が紡ぐ (ページ32)

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30話ページ32

三人の親睦も深まってきた頃。ホグワーツまであと少し。

膝の上で百味ビーンズの箱の中に頭ごと突っ込むネズミを見ながら、ロンは肩を竦めた。

「この子はスキャバーズ。……かっこ悪いだろ？」

「ちょっぴりね」

『ぽっちゃりしてて可愛いじゃない』

「可愛くなんかないよ。いいよな、君のはあんなにかっこいいんだから」

「Aも何か連れてきたの？」

『うん!私は猫よ。セトナクトっていうの!汽車のどこかにいるわ。賢い子なの』

Aが言い終わると同時に、ガラッ、とコンパートメントの扉が開いた。

「ここに居たのかロニー坊や」

「おっ、Aも一緒じゃないか!姿が無いから心配したぜ」

9と3/4番線に入る前に見た、あのそっくりな双子だ。

「その呼び方やめろよ!……あ、僕の兄貴のフレッドとジョージ。双子だよ」

『久しぶり!フレッド、ジョージ!私だって探したのよ、一緒に汽車に行ってくれるって言ったのに』

Aが唇を尖らせて二人を睨んだ。約束をすっぽかされたようで、お怒りだ。

「ごめんってA、どうしたら許してくれる？」

余裕そうに笑うフレッドがAの髪をくクシャっと撫でて言った。そのAの声に反応して、双子の足元から大きな猫が姿を現した。

『セティ!フレッドとジョージと居たのね』

"セティ"と呼ばれたヒョウのような大きな猫に、ハリーは想像してた猫との差に驚愕した。

思っていた五倍は大きい。

「君の猫、随分強そうだね」

『かっこいいでしょ？外国の珍しい猫なのよ。彼とっても賢いの!ね？セティ』

セトナクトがロンとハリーが座っている席の周りのお菓子やらを避けながら軽快に飛び越えてAの横に軽く着地して見せた。

尻尾がハリーの鼻を擽ったらしく、クシュ、とくしゃみをすると、セトナクトの尻尾が得意げに揺れる。

『賢いけど、悪戯好きなの』

「そうみたいだね」

「そっちの奴はロニー坊やの友達か？」

横でジョージが聞いた。

「僕ハリー・ポッター、よろしく」

「「なんだって？!君ハリー・ポッターか!!」」

「今年ホグワーツに入学するって噂は本当だったんだな」

「あぁ相棒。けどハリーはこうやって言われることに飽き飽きしてるさ」

息ぴったりにそう言って、フレッドが思い出したようにロンを見た。

「そうだ、リーがでっかいタランチュラを持ってるから、見に行こうとしてたんだ!」

「お前達もどうだ？」

「僕はいいよ、それとその呼び方やめろって!」

「僕もいいや」

『私は行くわ!』