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はぁ〜。演技するのも疲れるな。
引き離すためとはいえ、本来の自分と違う自分を作り出すのは疲れる。
ベットに転がり天井を眺めながら、この先も続けることに嫌気がさしていく。
逃げ出せばいいんだろうけど、FBIだと流石にかなわない。
無理だと諦めて貰う方が良いだろう。
「なんで出会っちゃったんだろ」
そんなことを考えていると、あれから3時間もたっている。
コンビニに行こう。さすがに何も食べないのは辛い。
着替えて部屋を出ようとした時、部屋の扉を叩く音がした。
コンコン
昴さんだな。そのまま寝てしまってくれた方がいいのに。
「なんでしょうか」
昴「もう22時です。夕食どうですか?」
「おかまいなく。私はコンビニでも行って適当に食べますから」
昴「外は暗いですし、この周辺は物騒ですから外出はしない方が身のためですよ」
「私は19歳です。問題ありません」
昴「いや、貴方はまだ19歳だ。狙われることは目に見えています」
「だから大丈夫です」
昴「保証なんてどこにもありません。ですが、この家で食べればそんなこと起こらないでしょう?」
あーなんでこう、関わってくるかな?!
こんなにも断ってるじゃん。
なんかイラついてきた。ほんとに無理!!
私の領域に無理やりに入ってこようとする人。
どれだけ拒否して突き放しても…。
腹立つ!!!!
「結構だと言っているでしょ!!私に関わらないでください!!!」
私は部屋の扉を開けて、昴さんを押すと外へと走って飛び出した。
全速力で走って走って、人目につかないような公園へとたどり着いた。
「はぁっ…はぁっ…どうせ情報のためでしかない癖にっ…」
上がった息を整えるためにベンチへと座り込む。
まるで今の私を表すかのような厚い雲に夜空はかき消されている。
光が届かない深い闇。
どれだけもがき苦しんでも晴れてはくれないんだろう。
そう思っていたら、冷たい雫が顔にかかった。
そして直ぐに私の身体を濡らしていく。
「…どうしようかな…」
私が雨に濡れていると、近づいてくる足音。
私の近くでその足音は止まり、声をかけられる。
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作者名:コンパネ | 作成日時:2020年5月26日 1時