検索窓
今日:14 hit、昨日:32 hit、合計:25,818 hit

第三話 生き残れ 炭治郎視点 ページ5

志那戸辨(しなとべ)は一度目を閉じた後、少し瞳を細めて言った。

「ここからは別行動にしましょう」
「な、なんでだ? 」
「これは最終選別。一人一人が本当に鬼と戦えるのか見極める選別。
 一緒に行動しても意味がないわ。
 それに……私は自分の実力を試したい。
 ……もし、それで私たちのどちらかが生き残ったとしても、
 二人とも死んだとしても、その時はその時。
 実力が足りなかった、弱かった……ただそれだけのことよ」

 た、確かに巫兎が言っていることは間違っていない。
ここで協力して生き残ったからといって、その後一人で鬼を退治できるとは限らない。
でも……

「巫兎が考えていることはわかったし、別行動に対しては賛成だ。
 俺も、自分がどこまでできるか試してみたいし……。
 でも! どうして君は、自分が死ぬことをそんな……軽く言えるんだ!?
 もっと、自分の命を大切にしろ!
 俺たちは生き残る!
 必ず生きて帰るんだ!
 そして、また会おう! 絶対に! 」

 俺が志那戸辨の心に届くよう必死に語りかけると、
志那戸辨はふっと笑った。

「ど、どうした? 」
「やっぱり、竈門君は優しいのね……。
 わかった、必ず藤の花の下でもう一度会いましょう。
 あなたの健闘、祈っているわ」

 志那戸辨はそう言うと静かに微笑んだ。

「あぁ! 巫兎も! 」

 志那戸辨は辨は体の向きをくるりと変えると、
西の方向へ歩き出し、やがて静かに俺の前から消えた。

 初めてみたな、巫兎が笑った顔を。
全く表情が変わらない子なのかと思ってた。
それにしても……俺、あの時勢いに任せて言ってしまったけど……。
生きて帰れる自信が……ない。
巫兎は俺よりもずっと強いけど、俺はさっきの鬼を相手するだけで慌ててしまった。
……でも、巫兎との約束を守らなくては!
必ず、生きて帰るんだ!

 俺がそう決心して顔を上げた瞬間、突然強い鬼の匂いが炭治郎の鼻を刺激した。

ん!
なんなんだ、この腐ったような匂いは!

 刀をしっかり握りなおすと、俺は鬼の匂いがする方向へ走り始めた。














*作者より*
500hit、そしてお気に入り登録10人突破いたしました。
皆様、本当にありがとうございます。
次回は初の巫兎視点です。
これからもこの作品をよろしくお願い致します。

第四話 冷たい風 巫兎視点→←第二話 風の斬撃 炭治郎視点



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.5/10 (46 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
77人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

庵原史穂(プロフ) - 西村莉唯(りあ)さん» 西村莉唯様、温かいお言葉ありがとうございます。ご期待に添えるようこれからも精進して参りますのでよろしくお願い致します♪ (2022年3月6日 17時) (レス) id: 0038db6d5e (このIDを非表示/違反報告)
西村莉唯(りあ)(プロフ) - 更新したら私即見ます!なので頑張ってください! (2022年3月6日 16時) (レス) id: 929c6fdeb8 (このIDを非表示/違反報告)
庵原史穂(プロフ) - 夏美さん» ありがとうございます! (2022年2月19日 22時) (レス) id: 0d9f41f564 (このIDを非表示/違反報告)
夏美(プロフ) - 更新頑張ってください! (2022年2月19日 22時) (レス) id: 5adf9ec04a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:庵原史穂 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年12月22日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。