第十話 鉄島鋼助 巫兎視点 ページ13
選別から戻り、師匠の家に帰ってきた次の日。
早速稽古をしようと朝早く起き稽古場に向かうと、
師匠からつまみ出され布団のところへ強制的に戻された。
なんでも、休養をしっかり摂るまでは稽古はなしだそうだ。
そうしたら体が鈍ると抗議をするが、その前に体を壊したら元もこうもないと叱られた。
まぁ、いっていることはもっともだが。
そうこうしているうちに、選別から十日ほどった。
その日の昼、ひょっとこらしきお面をつけた男が訪れた。
え、誰、家の前にひょっとこのお面をした人がいるんだけど。
こんな山奥で祭りなどやってないし、変人?
「師匠、玄関の前に変な人が」
「変な人?
あぁ、もうそれぐらい経つのかい。
良かったなぁ、巫兎! 」
「何がですか」
「届いたぞ、お前の刀」
あぁ……確かに、選別が終わってからだいぶ経ったか。
「よぉ、久しいのぉ。
まさか、お前さんが巫兎の刀鍛冶になるとはな」
「わしもじゃよ。
お前さんの弟子を担当できて嬉しいよ」
「あの、師匠。
こちらの方は? 」
「あ、あぁ。
こちらは
お前さんの刀鍛冶だよ」
「初めまして、志那戸辨巫兎です」
「こりゃぁ礼儀のいい子だ。
わしもお前さんの担当になれて嬉しいよ」
「さ、家の中に入っておくれ」
師匠はひょっとこ面の鉄島さんと共に家の中に入っていた。
随分と仲がいいのね。
昔からの知り合いかしら?
私がお茶菓子を持って座敷に入ると、二人は大きな声で笑っていた。
「お待たせしました。
お口に合うかわかりませんが……」
「いやいやすまないねぇ、気を使わせて。
さ、これを受け取ってくれ。
これをお前さんに渡すために来たんだからのう」
っ、重っ!
鉄島さんから渡された刀は重く、まるで刀から人々の命の重さが伝わってくるようだった。
でも、悪くない。
「巫兎、鞘から刀を抜いてごらん」
私は師範が言うことに疑問に思いつつも、刀を鞘から抜いた。
すると、名前の通りズズズズズっと刀の色が徐々に変わり始め、
透き通った美しい
だから、“色変わりの刀” って言われるのね。
それにしても……
「綺麗じゃのう」
「あぁ、わしが作ったからのう」
みんなで刀の美しさを称賛しているところに、一羽のカラスがやってきた。
「伝令、伝令カァ!
志那戸辨巫兎ニ初任務ジャァ! 」
私はついにきたかと、気を引き締めた。
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庵原史穂(プロフ) - 西村莉唯(りあ)さん» 西村莉唯様、温かいお言葉ありがとうございます。ご期待に添えるようこれからも精進して参りますのでよろしくお願い致します♪ (2022年3月6日 17時) (レス) id: 0038db6d5e (このIDを非表示/違反報告)
西村莉唯(りあ)(プロフ) - 更新したら私即見ます!なので頑張ってください! (2022年3月6日 16時) (レス) id: 929c6fdeb8 (このIDを非表示/違反報告)
庵原史穂(プロフ) - 夏美さん» ありがとうございます! (2022年2月19日 22時) (レス) id: 0d9f41f564 (このIDを非表示/違反報告)
夏美(プロフ) - 更新頑張ってください! (2022年2月19日 22時) (レス) id: 5adf9ec04a (このIDを非表示/違反報告)
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