プロローグ あの日の決意 NOside ページ1
寒い寒い冬の日のこと。
吹雪で視界がぼやける中、一人の少女がかじかんだ両手で刀を持ち、
肩で息をしながらやっとのことで立っていた。
その背中はとても怯えていて、震えていた。
家の中から急いで出てきたのだろうか、少女は寝巻きを着ていてとても肌寒そうである。
「ハァハァ……。
ど、どうして……先まで襲ってきていたのに……。
なんで……」
少女の前を見ると、先ほどまで何者かがいたのだろう。
あたりには人の気配はなく、少女の荒れた息遣いと吹雪のゴォォォという音しか聞こえない。
しかし、その一連の様子を木の影から見ているものがいた。
そのものの顔には普通に過ごしていたら付かないであろう、、独特な切り傷が付いていた。
傷男はゆっくり少女に近づいていき、そっと彼女の肩に手を添えた。
「はっ! 」
少女はとても驚いたのだろうか。
足がもつれながらも傷男と距離をとり、刀を構えた。
「オイ、さっきの鬼、お前が倒したのか? 」
その言葉で自分を害するものではないと安心したのか、
少女はゆっくり刀を下ろしながら言った。
「あ、あの化け物のこと?
……よ、よくわからないけど気がついたら塵みたいに崩れて消えかけてた」
「そうか、じゃぁなんでお前が
もしかして隊員かァ? 」
「日、輪刀? 隊員?
一体なんのこと?
も、もしかしてこの刀のこと?
これは御神刀だっておじいちゃんたちが……」
「あぁ、もういい。 わかったから。
お前ん家はどこだ? 送ってやる。
夜は危ねぇ、ましては吹雪の夜はなぁ。
さっきみたいな
そういうと傷男は少女の手から刀を取り、少女を背負うと、
「 お前ん家、向こうの神社だろ。 しっかり捕まってろ……」
と言って急に走り出した。
その速さはとても早く、まるで吹雪の中駆け抜ける疾風のようだった。
走り始めてほとんど時間が経たないうちに、傷男は神社の前にたどり着いた。
傷男はゆっくり少女をお堂の中に下ろすと、床に刀をそっと置いた。
「俺はもう行く。
気休めにしかなんねぇが、藤の花のお香を焚いておけ。
じゃあな……」
そう言って少女に背を向けると、少女は男の羽織物の袖をつかんだ。
「なんだよ……」
「教えて」
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庵原史穂(プロフ) - 西村莉唯(りあ)さん» 西村莉唯様、温かいお言葉ありがとうございます。ご期待に添えるようこれからも精進して参りますのでよろしくお願い致します♪ (2022年3月6日 17時) (レス) id: 0038db6d5e (このIDを非表示/違反報告)
西村莉唯(りあ)(プロフ) - 更新したら私即見ます!なので頑張ってください! (2022年3月6日 16時) (レス) id: 929c6fdeb8 (このIDを非表示/違反報告)
庵原史穂(プロフ) - 夏美さん» ありがとうございます! (2022年2月19日 22時) (レス) id: 0d9f41f564 (このIDを非表示/違反報告)
夏美(プロフ) - 更新頑張ってください! (2022年2月19日 22時) (レス) id: 5adf9ec04a (このIDを非表示/違反報告)
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