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あまりにも弱々しい声だった。




驚いて声が出ない私を、安室さんはじっと見つめ続けている。


彼の方が背が高いのに何だか彼が普段より小さく感じられて、私は困惑した。




「この国に、……俺の近くに居てくれないか。お前は危なっかしくて、正直気にかかり過ぎて身がもたない。俺の側にいてくれるなら安心できると思うんだ。」




危なっかしいと来たか。


心の底から「お前が言うな」と言いたい。


そっちは危なっかしいどころか本気で危険も危険な戦場じみたところに飛び込んで行くくせに。




「あの、安室さん。私を何歳だと思ってるの、流石に子供扱いは……」

「違う。」

「へ、」




「降谷零。俺の名前。」




あれ、




え?名乗ってくれた?




「安室透は偽名だ。呼ぶなら零って呼んで。」




零って呼んで!?!?




う、うわああ前世でもそんなに呼んだことない名前、まずい身がもたない待て




「ふるやさん……?」




あっ名字




「……なんで名字?」

「なまえはまだきつい」




カタコトで申し訳ない。


頬も真っ赤になってる自信がある。


ちょっとずつ免疫つけないと呼べない尊みが深すぎて。




「…まあ、良い。」




ちょっと笑いながら許された。


ああ、降谷さんが笑ってる。好きだ。


それでなんの話だっけか…




「それで、日本に残るんだよな?」




ちょっと話逸れてる間に話が確定したことになってる。




「でも…知ってるでしょ。今の私は、もうメルローの頃の私じゃないよ。」

「ああ、今世の記憶が削れてるんだったか。」

「うん、だから……」




勢い余って言ってしまった。


言わずに去るつもりだったのに。




でも思いのほか降谷さんに動じた様子がなくて、「あれ?」と思っていると、不意に距離を詰められ抱きすくめられる。




えっ。









「でも、お前はお前だった。確かに少し雰囲気は変わったけど、お前の本質は変わらないよ。自分ではそんなこと、もう分からないのかもしれないけど。」





ぎゅう、とさらに強く抱き締められて、私は何故か泣き出したくなる衝動に駆られた。


その言葉が欲しかったのだと、私の中の誰かが叫んでいる。


これは……何なのだろう。





「分かんない……けど、降谷さんがそう言うなら、そうなのかな。」





降谷さんが、私の耳元でふっと笑った気配がした。








「当たり前だ、信じていい。……お前のことを誰よりも愛した、俺自身の言葉なんだから。」

→おわり→←113



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作者名:しま | 作成日時:2018年5月8日 23時

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