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突如走り出した私に、ベルモットはためらいなく発砲した。


おいここ街中だぞ女優。




……あっでも誰もいない!


時間帯が時間帯だからこの付近誰もいない!


そりゃあその美しい顔のまま発砲し放題ですよね!




腕を掠った鉛玉に怯えつつ裏路地に入って射線を切る。


私はとにかく逃げることだけを考え、ピンヒールなんぞ脱ぎ捨てた。


ウィッグも風の抵抗が凄いので投げ捨てた。




それにしても裸足で走るのって思いの外痛い。


ピンヒール履いて走るよりはよっぽど速いけれど、痛みを感じてしまえば足も鈍る。


足の感覚はなるべく意識しないように努めた。









今のところ裏路地を選んで走っているが、そもそも組織を相手取る場合はこういうところの方が危険なのでは?


と気づいたので表通りに出る。




ベルモットはどこへ行ったんだろうか。


少なくとも見渡せる範囲にはいないようだが……




–––––––––あ、車の音がする。





しかも何だか嫌な予感を助長してくれる音である。


この独特の不等長なアイドリング音…(※単行本48巻より抜粋)


そして、ブォンブォンとレスポンスのいい噴け上がりは水平対向エンジン!(※単行本48巻より抜粋)




これはポルシェ356Aに間違いありませんわ(名推理)




ええ、ええ、そうですとも。


認めましょう。


こいつはスバルでもワーゲンでもなくポルシェ。間違いない。




だってとぼけたところで何したところで、絶対いるんだもん!




表通りに、ジンの車が!




「よお、鬼ごっこは終いか?」




車から降り立ったのは、銀色の長髪を風に遊ばせる色男。


その口元が、ニィッと不敵に釣り上がる。




–––––––––午後十一時五十二分。




篠崎A、ご臨終です。

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作者名:しま | 作成日時:2018年5月8日 23時

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