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現在時刻、午後十時半。
本来の予定ではお見合いのお相手様と軽く話し合って「この話はなかったことに」の言葉で締め、今頃やきもきしながら自宅で日付が変わるのを待ってたはずなのに。
「被害者は△△△△さん四十二歳…」
なんでこうなるんだ。
・
バーの最奥で意識を失い倒れた男性は、毛利探偵の見立てと警察の調べによると、毒を飲んで亡くなったらしい。
さらに安室さんとコナンくんのファインプレーにより、容疑者がかなり絞られた。
私が容疑者から外れたのなんて初めてじゃないか?
まあ来店直後に毒殺なんて出来るはずもないが。
それでも一応このバーにいた客は、事件解明までここから解放されないらしい。
何それ意味ない。
ちなみに今回の容疑者は
全員ひとりでバーにやって来た女性客で、その共通点は被害者にナンパされたことだという。
よく分からんが早めに解決してくれ。
ベルモットが。ベルモットが誰かにメール打ってる。待ってくれ。
その相手誰です?まさかジンじゃないよね?本当にやめてね…?
「あなた方は来店後、席に着くことなくカウンター付近に立っていたと聞きましたが…」
私が内心震えていると、高木刑事が手帳片手に寄ってきた。
容疑者でなくとも事情聴取はするらしい。
「ああ、安室とかいう男に呼び止められまして。」
「お知り合いで?」
「フィアンセの方がね。」
(フィアンセいうな)
「あ、そうでしたか。ではお二人のご関係は婚約者ということになるんですね。」
「いえ先ほど会ったばかりの他人ですわ。本日はお見合いで顔合わせをしたまでですの、まだ婚約関係にはありません。」
流石に聞き捨てならずズバッと返答すると、お相手様はわたわたした様子で「すみません!」「まだ早かったですかね」「でも僕はあなたのことを…」とさえずり始めた。
何だろう、既視感がある。もしやこの人父タイプか。
私が微妙な心境でいると、トトト、とこちらに近づく軽い足音が耳に入った。
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作者名:しま | 作成日時:2018年4月29日 21時