爆裂ワガママお嬢様がすべてを思い出したら (ページ33)

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憂いを秘めた父の様子に疑念を抱いたので、翌日少々家の中を調べ回ってみた。

すると何となく察してしまっていた通り、今世の私の母親は既に亡くなっていたことが分かった。

発掘したアルバムをめくれば、小さい頃の私と思しき女の子、若かりし頃の父・大和、それから美しい外国人女性のスリーショットが何枚か見つかった。

とすればこの外国人女性が私の母親ということになるのだろうか…

私ってハーフだったんだな…普通に日本人顔だったから気づかなかった。

「母さんの名前は……、あ、英語……」

キメ顔をした母が単体で写っている写真には、著名人のサインのようなノリで【Emilia・Z・Nash】と書かれていた。

そのまま読むなら【エミリア・Z・ナッシュ】だろうか…

あ、父さんのキメ顔の写真もある。あとサインも。

キメ顔してパシャったやつにサイン入れるの流行ってたの？

「……あれ？」

父のサインは日本語だったので難なく読めた。

しかしそのせいで、逆に首を傾げる結果となる。

父のキメ顔写真には、流麗な字で【沖井大和】と記されていた。

「篠崎じゃないんだ…？」

あー、ん？じゃあ篠崎って偽名？

父の本当の名字は沖井？

……どっかの誰かが反応しそうな名字だ。

しかしこうなると、自分の名前にも自信が持てなくなってくる。

私って篠崎Aで合ってるよね？

それかもしくは沖井A？

不安に思いつつさらにアルバムをめくると、今度は子供の写真で溢れ始める。

最初のうちは男の子の写真。これが私の兄弟らしい。初めて見た。

そして幼き日の私の写真も増え始める。

私の赤ん坊の頃の写真のタイトルには、誕生日と名前が記されていた。

私はその名前の部分を恐る恐る確認する。

【Felice】

……………………フェリス。

……………………ふ、ふええ。

「うわーーーん父さん！父さん私の名前ってフェリス？A？名字って何？篠崎？沖井？どれーーー私の本当の名前どれーーー！！」

混乱しまくってついに父に直接尋ねてしまったが私は悪くない。