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(コナン視点)





相次いで起こる爆発により客室への道は完全に閉ざされてしまった。


蘭に抱え上げられて身動きの取れない俺は、ただ為すすべもなく歯噛みするしかない。




(くそ、なんで、なんで……!!)




推理ショーの最中に客室の方へ歩いていく千佳子さんを、メルローを見かけていたのに。


推理が終われば、今まで灰原と同じように組織の影に怯えながら孤独に戦ってきたであろう彼女に、俺たちは味方だと、伝えられると思っていたのに。


それ、なのに……!




(安室さん……)




安室さんは客室へ繋がる道を呆然と眺めていた。


その足がふらりと前へ進められる。


瓦礫で塞がれた道へと、まるで引き寄せられるように。




俺は呼び止めることが出来なかった。




だって安室さんは、きっと、メルローのことを……




「––––––––。」




そのとき、安室さんとすれ違った女子大生が彼に何事かを囁いた。




あの人は……俺が爆発源に向かおうとしたときに止めに入った人だ。


今もまた、安室さんに告げたのだろうか。


「早く避難しろ」「死にたいのか」などと。




女子大生の言葉をしっかりと耳にしたらしい安室さんは、彼女の方を振り返って……









絶望に染まった顔をした。









「……っ!?」




なんだ?


あの女、安室さんに何を告げた!?




間違っても安室さんの身を案ずる言葉ではない。


そうでなければ安室さんがあそこまで絶望に染まるはずがない。




女子大生は煙に巻かれて姿を消した。




立ち尽くす安室さんが、表情の抜け落ちた顔で、呟いた。









「ベルモット……?」

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作者名:しま | 作成日時:2018年4月29日 21時

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